お薬相談 Q & A
(Q89〜 2007.05.24up)

*2007年時点での回答であり、現在の最新情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
           

Q1
骨粗鬆症の薬(ビスホスホネート製剤)は、種類によって服用方法が違いますが、それはどうしてでしょうか。また服用時どんな注意をしたらよいでしょうか。

Q2
膀胱炎と診断され、ガチフロ錠を処方されました。以前抗生物質を飲んだ時、日に当たった所が赤く腫れたのですが、この薬は大丈夫でしょうか。また水分は控えた方がよいのでしょうか。

Q3
先生から「インフルエンザのようです。」と言われ、タミフルカプセルとクラリス錠をもらいました。どんな薬ですか。また看病する時どんなことに気を付けたらいいですか。

Q4
緑内障の治療でチモプトールを使っていますが、なかなか眼圧が下がらないのでキサラタン点眼液が追加になりました。2種類の目薬の違いを教えてください。

Q5
本態性高血圧の治療中です。今までセレクトールを飲んでいたのですが、今度薬が変わってケルロングになりました。どんな薬ですかまた飲み方は同じですか。

Q6
胃内視鏡検査で生検をすることになりました。今飲んでいる抗凝固薬は何日前からやめたらいいですか。

Q7
肝機能検査をしたのですが、これで何がわかるのでしょうか。

Q8
コレステロール値が高かったので高脂血症の薬を飲んでいます。検査値が正常になったので、もう飲まなくてもよいですか。

Q9
アレルギー性鼻炎です。薬局で点鼻薬を買って使っていますが最近効かなくなり、むしろひどくなるようです。どうしたらよいでしょうか。

Q10
二日酔いにならないために注意することがありますか。

Q11
5才の子どもが軽症から中等症の喘息と診断され、吸入ステロイドの使用を勧められました。ステロイドの副作用はこわいと聞きますが大丈夫でしょうか。

Q12
薬の副作用で間質性肺炎が起こることがあると聞きましたが、どんな症状が出るのでしょうか。

Q13
新聞でパナルジンの重大な副作用について見たのですが、無顆粒球症や血栓性血小板減少性紫斑病になると、どんな症状が出るのでしょうか。

Q14
QT延長症候群といわれて薬には気をつけているのですが、どういうことでQT延長が起きますか。

Q15
以前水虫の薬(フロリードD)を病院でもらってとてもよく効いたのですが、同じ薬を薬局で買えますか。

Q16
寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりして翌日の日常生活にも支障をきたすほどなのですが、薬局で買える薬がありますか。

Q17
疲れやすいので総合ビタミン剤を飲もうと思うのですが、病院でもらう薬との相互作用の心配はありませんか。


Q18
尋常性乾癬といわれ、ボンアルファを使っていましたが、今度オキサロールに変わりました。どんな薬ですか。

Q19
  以前、爪の周りが炎症を起こした時、抗生物質をもらったのですが、まだ残っているので風邪をひいた時に飲んでもよいですか。

Q20
  最近体調が悪くて病院でみてもらったら、セロトニンを増やす薬を出しましょうといわれたのですが、セロトニンって一体何なのでしょうか。

Q21
  血圧が高くて、腎臓も悪くなったので入院治療をしました。血圧が正常範囲になり、体調もよいので薬を3種類も飲まなくてよいと思うのですが。

Q22
片頭痛によく効く薬が発売されたと聞きましたが、どこで手に入りますか。予防的に飲むものでしょうか。長期間飲んでも大丈夫でしょうか。


Q23
毛染めが流行しているのですが、染毛剤でアレルギーを起こすことはないのでしょうか。

Q24
妊娠7ヶ月です。風邪で熱がありますが葛根湯を服用してもかまいませんか。

Q25
飲食物と薬の「食べ合わせ」「飲み合わせ」に気をつけてくださいという新聞記事を読みました。牛乳を毎日飲むようにしているのですが、薬と相互作用があるのでしょうか。それから食後に薬を飲みますが、食事による影響も考えなければならないのでしょうか。

Q26
ワーファリンを服用している時は、納豆を食べてはいけないといわれたのですが、どうしてでしょうか。バファリンだと大丈夫ですか。いまナットウキナーゼの健康食品がでていますが、これは飲んでもかまいませんか。それから毎日お酒を少し飲みますが、相互作用の心配はありませんか。

Q27
熱はないのですが、乾いた咳が出始めて2週間以上続いています。今7種類の薬を病院でもらって飲んでいますが、市販のかぜ薬を買って飲んでもいいですか。


Q28
「うつ病」と診断され、パキシル錠をしばらく飲むように言われたのですが、どれくらい飲み続けるのでしょうか。副作用の心配はないのでしょうか。「気のもちよう」でもなおるのでしょうか。


Q29
以前薬を飲んでいる時、まっすぐに歩くのが難しくなったことがあります。すぐに薬をやめて治ったのですが、また同じ薬を、今度は少量飲んでみてくださいといわれました。どうしたらよいでしょう。

Q30
血圧が高いので病院から薬をもらって飲んでいます。知人から漢方薬をすすめられましたが、そちらに変えたほうがよいのでしょうか。それとも併用したほうがよいのでしょうか。

Q31
保健機能食品とは何ですか。

Q32
テレビの健康番組で、生活習慣病の予防のために食物繊維がよいといっていました。どんな食品を食べればよいのでしょうか。健康食品を利用すると簡単だと思うのですが、いろんな種類の商品が出ているので、どれがよいかわかりません。選び方を教えてください。病院の薬を飲みながら健康食品をとっても大丈夫でしょうか。

Q33
オリゴ糖とは何ですか。

Q34
貧血のようなので検査をしました。結果用紙に書かれているMCV、MCH、MCHCの値はどういうことなのでしょうか。

Q35
白血球が増えているといわれたのですが、どんな病気なのでしょうか。白血病でも増えるらしいですね。

Q36
虚血性心疾患といわれ、検査を受けることになりました。どんな病気で、どんな検査があるのでしょうか。

Q37
以前に軽い脳梗塞を起こしてからバイアスピリンを飲んでいるのですが、飲み続けて大丈夫でしょうか。

Q38
妊娠中なのですが、まだ風疹にかかっていません。ワクチンも受けていないので気をつけるようにいわれました。もしかかったらどうなるのでしょうか。ワクチン接種はいつが適当でしょうか。

Q39
妊娠中の検査でGBS陽性といわれて薬を出されました。飲んでも赤ちゃんに影響はないのでしょうか。

Q40
睡眠薬を飲み始めて眠れるようになったのですが、ずっと服用を続けて大丈夫でしょうか。今飲んでいる薬は強いほうでしょうか。

Q41
長い間鈍痛があって受診したところ、「うつ病」ではないといわれたのに抗うつ薬が出されました。どうしてでしょうか。長く続く痛みについても教えてください。

Q42
ハーブサプリメントとしてよく使われているエキナセアとは何ですか。医薬品と一緒に使用できますか。

Q43
前立腺肥大症でフリバスを服用していますが、最近セルニルトンも追加になりました。これを飲むと痒くなるのですが、副作用でしょうか。二種類飲む必要があるのでしょうか。

Q44
1歳の時に初めて熱性けいれんを起こして、今回が3度目になります。けいれんを起こした時、熱をはかると39℃もありまだ熱が続いているので心配です。解熱用の坐剤と抗けいれん用の坐剤はどのように使ったらいいですか。

Q45
花粉症の薬を飲んでいるとき、チーズを食べると血圧が上がるとか、抗うつ薬を飲んでるとき、マグロを食べるとじんましんが出る。とテレビで放送されていたのですが本当ですか。

Q46
アレルギー体質で鼻炎を起こしたり湿疹ができやすいのですが、市販の鼻炎薬や抗アレルギー薬は妊娠中でも使えますか。授乳中はどうでしょうか。

Q47
昨年はSARSコロナウイルスなど新型のウイルスによる感染症のニュースをよく聞きました。そのウイルスはどんなものでしょうか。家庭での消毒方法などを教えてください。

Q48
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療を受けました。4週間以上たって除菌できたかどうか検査したところ、まだ菌が残っているとのことでした。これからどんな治療を受けたらよいのでしょうか。

Q49
高血圧でCa拮抗薬を服用していますが、この10年間に薬の種類がいろいろ変わりました。今、アダラートを服用しています。よその病院でそのことを話すと、その薬は血圧を急に下げて短時間しか効果が持続しないのでよくないといわれたのですが、本当でしょうか。

Q50
血圧が高くてずいぶん前から薬を飲んでいるのですが、最近利尿薬も処方されました。こんなにたくさんの薬を飲んでもよいのでしょうか。

Q51
妊娠3ヶ月末にひどい貧血で、栄養士さんからレバーを食べるようにいわれたので、豚のレバーを食事で摂ってきました。最近になってビタミンAを摂りすぎると奇形を起こす心配があると聞いたのですが、豚レバー100gにはどれくらいビタミンAが含まれているのでしょうか。

Q52
子どもが中耳炎にかかり、抗生物質など3種類ほどの薬を長い間飲んでいるのですが、大丈夫でしょうか。

Q53
血圧が高いので塩分を減らすようにいわれていますが、1日どれくらいにしたらよいのでしょうか。食塩制限でどれくらいの利点があるのでしょうか。

Q54
COPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断され気管支を拡げる薬をもらったのですが、喘息とどのように違うのでしょうか。日常生活ではどんな注意が必要ですか。

Q55
子どもが喘息で長い間抗アレルギー薬を飲んでいるのですが、最近オノン(抗ロイコトリエン薬:抗LT薬)という薬も加わりました。どんな薬でしょうか。

Q56
妻がC型肝炎にかかっているのですが、家族内で感染するのでしょうか。感染するとどんな症状がありますか。感染しているかどうか調べる検査についても教えてください。

Q57
C型肝炎に対するインターフェロン療法について教えてください。

Q58
看護の仕事をしたいと思っているのですが、B型肝炎ワクチンの接種をしていたほうがよいのでしょうか。針刺し事故を起こした時の対応についても教えてください。

Q59
B型慢性肝炎で時々検査をするのですが、HBe抗原、HBe抗体などの値は何を意味するのでしょうか。

Q60
血圧が高いので毎日薬を飲んでいるのですが、今度入院なしの手術をすることになりました。薬を一時中止した方がよいのでしょうか。

Q61
関節リウマチと診断されて10年以上たちます。抗リウマチ薬を飲んで腎臓が悪くなったので、副腎皮質ステロイド剤と非ステロイド性抗炎症薬で治療をしてきたのですが、最近リウマトレックスが追加になりました。口内炎やかぜ様症状はリウマトレックスの副作用でしょうか。

Q62
今、更年期で手足の冷えがあり、相談したらビタミンE剤をすすめられました。コハク酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロールなど表示が違うのですが効き目は同じですか。1日どれくらい飲んだらよいですか。ビタミンEを多く含む食品は何ですか。

Q63
ビタミン様物質とは何でしょうか。

Q64
目薬を薬局で買う時、どんな選び方をしたら良いですか。コンタクトレンズをはめたまま点眼できますか。

Q65
目薬が後発医薬品にかわりました。成分は同じらしいのですが差し心地が違います。大丈夫でしょうか。それから2種類以上の目薬を併用する場合の点眼順序を教えてください。

Q66
健康食用油の表示に、中鎖脂肪酸、植物ステロール、必須脂肪酸など書かれています。どんなもので、どんな効果があるか教えてください。

Q67
加齢黄斑変性症といわれました。進行を抑えるために、自分でできることがありますか。

Q68
アルコールは飲みませんが、検査で脂肪肝とγ-GTP値上昇を指摘されました。薬でそうなることがありますか。

Q69
単身赴任の夫が毎日アルコールを飲んでいるようなので心配しています。1日どれくらいの量だったら大丈夫なのでしょうか。検査値についても教えてください。サプリメントでは何が良いですか。

Q70
子宮内膜症と診断され、十数年前からいろんな治療を受けてきましたが、いま低用量ピルを使っています。調子は良いのですが、経口避妊薬がどうしてこの病気に効くのでしょうか。また副作用でどんなことがありますか。

Q71
寝るとき、まるで虫がはっているように脚がむずむずします。これは病気でしょうか。症状を改善する方法がありますか。薬を長く飲んでいるのでその副作用でしょうか。

Q72
時々、口唇ヘルペスにかかります。どんな時になるのでしょうか。日常的に栄養剤などを飲んでいたほうがよいのでしょうか。

Q73
ケルセチンが体に良いと聞きましたが、どんな作用がありますか。食品では何に多く含まれますか。サプリメントで補うとすれば、どれくらい摂ったらよいですか。

Q74
手足が冷えるので寒い時期はとてもつらいのですが、なにか良い薬はありませんか。

Q75
白血病は急性と慢性でどのように違うのでしょうか。急性骨髄性白血病はどんな治療が行われますか。

Q76
掌蹠膿疱症の治療にビオチンを使うことがあるとききました。ビオチンとはどんな薬ですか。

Q77
しみの治療にトレチノインがいいと聞きましたが、どんな薬ですか。どんな副作用がありますか。

Q78
微熱や咳などの症状が2週間以上続きます。ただの風邪と違うのでしょうか。どんな薬が効きますか。

Q79
春季カタルとは、どんな病気ですか。どんな治療が行われますか。

Q80
味覚異常や褥瘡には亜鉛を多く含む食事がよいと聞きました。どんな食品に多く含まれていますか。サプリメントとして補って安全なのでしょうか。

Q81
不整脈で心房細動があるのがわかり、脳梗塞を予防するためにワルファリンを飲んでくださいといわれました。血を固まらせないようにする薬は他にもあると聞きますが、私はワルファリンを飲まなければならないのでしょうか。それから日常生活で気をつけることがあれば教えてください。

Q82
双極性障害と診断されたのですが、どんな病気なのでしょうか。リチウムやてんかんの薬が効くのでしょうか。

Q83
口が乾燥して、食べ物が飲み込みにくかったり、話しにくかったりします。どうしたらよくなりますか。

Q84
乳癌と診断され手術を受けました。手術後、再発防止のために注射と飲み薬で治療されるそうです。どんな薬が使われるのでしょうか。飲み薬は5年間ほど飲んでくださいとのことでしたが、それほど長い期間飲まなければいけませんか。薬の副作用についても教えてください。

Q85

2型糖尿病と診断され、体重を減らすようにいわれたのですが、食事ではどんなことに気をつけたらよいですか。アルコールは少しなら飲んでもよいのでしょうか。

Q86

ギンナンが体によいと聞いて、1年ほど前から毎日6粒ずつ食べています。最近、頭がふらふらしたり、舌がしびれるのですが、どうしてでしょうか。

Q87
胃潰瘍を繰り返していてピロリ菌の除菌を勧められたのですが、2種類の抗生物質を1週間も飲まなくてはいけないとのこと。除菌したほうがよいのかどうか迷うのですが。

Q88
がんの痛みにはどんな薬が使われるのですか。

Q89
脳梗塞の再発を予防するために血液が固まりにくくする薬を飲んでいますが、同じような病気の友人と薬が違います。どちらがよいのでしょうか。

Q90
とても疲れやすいことから受診したら、プラセンタ注射をすすめられました。どんな薬ですか。副作用の心配はないのでしょうか。

Q91
子どもがてんかんと診断され、薬を飲むことになりました。薬は長く飲まなければいけないのでしょうか。どんな副作用があるのでしょうか。日常生活ではどんなことに気をつけたらよいですか。

Q92
下痢と便秘を繰り返すので、検査をしてもらったところ「異常なし」でしたが、症状を抑えるためにポリフルとレベニンというお薬をもらいました。どちらも整腸剤ということなので、1種類だけ飲めば良いと思うのですが。

Q93
検診でB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアであることがわかりました。どうしたらよいですか。治療をすぐ始めなければなりませんか。どんな治療法がありますか。

Q94
アルツハイマー病を予防することができますか。

Q95
最近、妻がもの忘れをして困ります。アルツハイマー病なのでしょうか。薬でよくなりますか。

Q96
検査値のGFRとは何ですか。この値が低いと何に気をつけたらよいのでしょうか。



Q1
骨粗鬆症の薬(ビスホスホネート製剤)は、種類によって服用方法が違いますが、それはどうしてでしょうか。また服用時どんな注意をしたらよいでしょうか。


 エチドロン酸二ナトリウム(ダイドロネル)は飲み続けると骨石灰化の抑制が起きるため、間をあけることが必要ですが、アレンドロン酸ナトリウム(フォサマック、ボナロン)やリセドロン酸ナトリウム(アクトネル、ベネット)は骨石灰化抑制作用より低い濃度で骨吸収抑制作用が出るので、続けて飲んでも問題がありません。
 食道などの粘膜刺激作用がありますし、飲食物と相互作用を起こし吸収がとても悪くなるので必ず水で服用すること、服用後30分間は横にならないことなどに気をつけてください。

Q2
膀胱炎と診断され、ガチフロ錠を処方されました。以前抗生物質を飲んだ時、日に当たった所が赤く腫れたのですが、この薬は大丈夫でしょうか。また水分は控えた方がよいのでしょうか。

 ニューキノロン系抗菌剤で、まれに光線過敏症(太陽光線に当たった皮膚に異常反応が起こり、紅斑や丘疹が出現する。)が起きることがありますが、ガチフロ錠はそのような副作用が起きにくい薬といわれています。
 また水分は多めにとり、尿量を増やすように心がけてください。


Q3
先生から「インフルエンザのようです。」と言われ、タミフルカプセルとクラリス錠をもらいました。どんな薬ですか。また看病する時どんなことに気を付けたらいいですか。


   タミフルはインフルエンザウイルスの増殖を抑えて、治りを早くする薬です。クラリスはマクロライド系抗生物質で、細菌性肺炎の予防になりますし、体の免疫力を高める効果もあります。
 もし熱がなかなか下がらなかったり、呼吸が苦しそうであれば、肺炎の可能性がありますから、改めて診察を受けてください。
 特にお年寄りでは脱水症状が起こりやすいので、十分水分補給をしてください。また小児の方では脳炎・脳症が増えていますので解熱剤の使用には注意が必要です。

Q4
緑内障の治療でチモプトールを使っていますが、なかなか眼圧が下がらないのでキサラタン点眼液が追加になりました。2種類の目薬の違いを教えてください。

 眼圧があがるのは、目の中の房水(眼内組織の栄養液)の量が多くなるためです。チモプトールは新しく作られる房水の量を減らしますし、キサラタンは房水の出口を広げます。
 2種類を併用することで、眼圧を下げる効果が増強されると思われます。


Q5
本態性高血圧の治療中です。今までセレクトールを飲んでいたのですが、今度薬が変わってケルロングになりました。どんな薬ですかまた飲み方は同じですか。

   どちらもβ遮断薬という血圧の薬ですが、ケルロングの方は、安静時の脈拍数を減らす作用があり、心臓を少し休ませることができます。セレクトールは服用方法が食前、食後で効果に大きな差がありますが、ケルロングは差がありません。飲み忘れのないように朝食後にお飲みになってはいかがですか。
 
Q6
胃内視鏡検査で生検をすることになりました。今飲んでいる抗凝固薬は何日前からやめたらいいですか。

 抗凝固薬のワルファリンは、4〜5日前から中止または減量します。バファリン81錠やパナルジンの場合は、薬の作用時間や血小板の寿命を考慮して7〜10日間休薬するとよいでしょう。

表1 抗凝固薬、抗血小板薬の休薬期間

種別

品名

主な作用機序

休薬期間

抗凝固薬

ワルファリン


ノボ・ヘパリン

ビタミンK依存性凝固因子(U,Z,\,])の蛋白合成阻害

ホスホジエステラーゼ阻害

5


プロタミンで中和可能

抗血小板薬

バファリン81mg錠

バイアスピリン

パナルジン


プレタール

シクロオキシゲナーゼ阻害

シクロオキシゲナーゼ阻害

トロンボキサンA産生・放出の抑制

βトロンボグロブリン放出抑制ホスホジエステラーゼ阻害

710

710

710


24

Q7
肝機能検査をしたのですが、これで何がわかるのでしょうか。


    肝臓は三大栄養素をはじめとする物質代謝に関与しているので、多くの酵素が存在しています(GOT、GPT、γ-GTなど)。これらの酵素の変動をみることで肝障害の病態がある程度推測できます。また肝臓の合成能(血清中総蛋白、アルブミン、総コレステロール、プロトロンビン時間など)や排泄能(ビリルビン)の検査から、肝臓の働きは正常であるかどうかがわかります。

Q8
コレステロール値が高かったので高脂血症の薬を飲んでいます。検査値が正常になったので、もう飲まなくてもよいですか。

 コレステロールは細胞膜を作ったり、ホルモンや胆汁酸の材料になる大切な働きをしていますが、総コレステロール220mg/dL以上、中性脂肪150mg/dL以上になると動脈硬化が進展し、心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症しやすくなります。治療は食事療法、運動療法、生活習慣の改善が基本になり、3〜6ヶ月程度様子を見ても効果が現れない場合は、薬による治療が行われます。それで値が正常になったからといってすぐやめてしまうと元に戻ってしまうことがあります。

高脂血症の診断基準(血清脂質値:空腹時採血)

高コレステロール血症

総コレステロール  ≧220mg/dL

高LDLコレステロール血症

LDLコレステロール≧140mg/dL

低HDLコレステロール血症

HDLコレステロール< 40mg/dL

高トリグリセリド血症

トリグリセリド   ≧150mg/dL

高脂血症のWHO分類

血清脂質の変化
(mg/dL)

増加するリポ蛋白

T

TC130〜220、TG↑↑

カイロミクロン

Ua

TC>220、TG<150

LDL

Ub

TC>220、TG>150

LDL、VLDL

V

TC↑↑、TG↑

IDL

W

TC正常または増加
TG150〜1000

VLDL

X

TC>220
TG>1000

カイロミクロン
VLDL

↑:上昇   ↑↑:著明に上昇
カイロミクロン:小腸から吸収された外因性のトリグリセリドとコレステロールの輸送を行う。
VLDL(超低比重リポ蛋白):肝臓からのトリグリセリドやコレステロールをIDLに渡す。
IDL(中間型リポ蛋白):コレステロールをLDLに渡す。
LDL(低比重リポ蛋白):末梢組織へコレステロールを運ぶ。
HDL(高比重リポ蛋白):末梢神経からコレステロールを抜き出す。

高脂血症の型別食事・運動・薬物療法

Q9
アレルギー性鼻炎です。薬局で点鼻薬を買って使っていますが最近効かなくなり、むしろひどくなるようです。どうしたらよいでしょうか。

  OTC薬の点鼻薬は、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤やケミカルメディエーター遊離抑制薬のクロモグリク酸ナトリウムの他、ナファゾリンやテトリゾリンなどの血管収縮剤が配合されています。血管収縮薬により鼻粘膜血管が収縮し、鼻閉は一時的に改善されますが、連用または頻回使用により反応性が低下し、持続時間は短くなり、かえって鼻閉がひどくなります。まず血管収縮薬の使用を中止し、抗アレルギー薬か抗ヒスタミン薬の内服と局所ステロイド薬を併用することで多くは改善します。



  アレルギー性鼻炎:鼻粘膜におけるT型アレルギー性疾患。三主徴は発作性くしゃみ、水様性鼻汁、鼻閉。

  発作性くしゃみ :放出されたヒスタミンが脳幹のくしゃみ反射中枢に信号を送って起こります。

  水様性鼻汁   :ヒスタミンに加え、血管壁の透過性亢進による血漿成分の漏出や粘液線毛系障害の関与。

  鼻閉      :ロイコトリエンが直接鼻粘膜の血管系に作用し、粘膜を腫脹することで起こります。

  薬物性鼻炎   :正常の鼻腔には自律神経によるサイクルがあり、左右の鼻腔は数時間おきに開閉を繰り返していますが、点鼻薬連用によるα受容体刺激によって自律神経のリズムが乱れ、鼻粘膜はかえって腫脹し、粘液分泌過多、鼻閉に陥ると考えられています。血管収縮薬は鼻閉改善に著効を示すため、安易な使用、長期連用につながる可能性があり注意が必要です。


   花粉症の治療

Q10
二日酔いにならないために注意することがありますか。


  二日酔いの原因としてはアルコール自体によるもの、アルコールの離断によるもの、アセトアルデヒドによるもの、酒類への添加物によるものなどが考えられます。アルコールを分解する肝臓では処理できる速さに限度があるのでゆっくり飲むこと、小腸での吸収を早めないために食べながら飲むこと、アルコール分を薄くして排泄しやすくするために水分を取ることなどが大切です。また必須アミノ酸が豊富な食品、各種ビタミン、L‐システインなどは、肝臓の代謝機能を促進しアルコールの代謝を進めることができますし、ゴマ(セサミン)やサフラン、ウコンには抗酸化作用や肝臓保護作用があることがわかってきています。漢方薬では半夏瀉心湯、黄連解毒湯などがよいでしょう。

  飲酒により摂取されたアルコールは、胃で約20%,小腸上部で残りの80%が速やかに吸収され、その約90%は、肝臓で代謝され最終的には二酸化炭素と水に分解されて体外に排泄されます。

エタノールの代謝

 エタノール→→→→アセトアルデヒド→→→→酢酸→→→→二酸化炭素、水
                      ADH,MEOS           ALDH 
   
  ADH:アルコール脱水素酵素
  ALDH:アルデヒド脱水素酵素
  MEOS:
肝ミクロゾームエタノール酸化酵素(チトクロームP450が関与)


Q11
5才の子どもが軽症から中等症の喘息と診断され、吸入ステロイドの使用を勧められました。ステロイドの副作用はこわいと聞きますが大丈夫でしょうか。


  以前は、ぜんそくは発作が起こったときに気管支を広げることが主な治療でしたが、最近では、気道の慢性炎症を抑える予防的治療が大切と考えられています。ステロイド薬は強力な抗炎症作用を持っているので、幼児(2歳〜5歳)の軽症持続型の喘息の長期管理においても吸入ステロイド薬の使用が考慮されます。(ただし年に数回、季節性に咳嗽や軽度な喘鳴が起こる間欠型でしたら、発作に応じたβ2刺激薬、テオフィリン、抗アレルギー薬などで治療が行われます。)吸入薬はより少ない薬剤で局所効果があるので、全身への影響はとても少なくなっています。しかし吸入後のうがいは必ず行い、喉に刺激を感じたり、口の中に白いかびのようなものがみられたら医師に伝えてください。

Q12
薬の副作用で間質性肺炎が起こることがあると聞きましたが、どんな症状が出るのでしょうか。

  初期症状は、発熱、乾いた咳、体を動かしたときの息切れなどです。細菌感染などによる通常の肺炎は肺胞内(実質)の炎症にとどまるのに対し、間質性肺炎の場合は炎症が肺胞と血管の間の組織(間質)にまで広がるため、かなり早期から息切れが起こり徐々に呼吸が難しくなります。聴診での捻髪音(fine crackle)が特徴的です。

Q13
新聞でパナルジンの重大な副作用について見たのですが、無顆粒球症や血栓性血小板減少性紫斑病になると、どんな症状が出るのでしょうか。


  無顆粒球症では、白血球の中の顆粒球あるいは好中球だけがほとんどなくなるので、熱が出たり口腔内に潰瘍ができたり、重症の感染症にかかることがあります。血栓性血小板減少性紫斑病では血小板の凝集・粘着能の異常亢進や血管内皮の障害が起こり、発熱、紫斑などの出血傾向、溶血性貧血、頭痛や痙攣などの多彩な精神・神経症状、腎障害などが起こります。
 パナルジンによる重大な副作用は、薬を飲み始めて2ヶ月以内にあらわれることが多いので、服薬開始後2ヶ月間は原則として2週に1回、血球算定、肝機能検査を行います。

Q14
QT延長症候群といわれて薬には気をつけているのですが、どういうことでQT延長が起きますか。

  QT延長の原因としては、薬の直接作用のほかに、薬の相互作用や代謝、電解質異常(低Ca血症、低K血症、低Mg血症)、心拍数、性差、基礎疾患などとの関連性が考えられます。不整脈薬や抗アレルギー薬、合成抗菌薬、抗生剤、カリニ肺炎治療薬、抗パーキンソン病薬、向精神薬、催眠・抗痙攣薬、消化管機能促進薬、高脂血症用薬、などで起きることがあります。QT延長だけでは自覚症状はありませんが、心室頻拍、特にトルサード・ド・ポアンツと呼ばれる多形性心室頻拍を起こして意識を失うことがあるので、お薬手帳などに記載をしておいて医療機関に行く時は必ず見せるようにしてください。

心電図上では心臓の一回の拍動で、一般にP波という小さな波形に続いてQRSという鋭い比較的振幅の大きな波形、T波という緩やかな波が現れます。P波は心房の興奮で出現し、Q波からT波までの間は、心室の興奮が始まって心室全体に広がり、完全にさめるまでを示しています。その間隔が長いのがQT延長症候群です。


Q15
以前水虫の薬(フロリードD)を病院でもらってとてもよく効いたのですが、同じ薬を薬局で買えますか。

  前は病院でしかもらえなかった薬の中に、一般の薬局で購入できるようになったものがあります。フロリードはミコナゾールという成分がはいったもので、薬局ではダマリン、ダマリンL、ダマリンL液(大正)、マルピー水虫薬(大日本)、ポリックM(明治製菓)、スペクト液、クリーム(住友ヘルス)などに入っています。薬局の薬にはミコナゾールの他にクロタミトン(鎮痒作用)、l‐メントール(局所刺激作用)、リドカイン(局所麻酔作用)ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン作用)などが配合されています。剤形も軟膏、クリーム、液など各種あります。厳密な使い分けはされていませんが、乾燥型の水虫にはクリーム剤、液剤、ゲル剤など。浸潤型には軟膏剤、ゲル剤などが適しています。使用感や症状にあったものをお使いください。


Q16
寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりして翌日の日常生活にも支障をきたすほどなのですが、薬局で買える薬がありますか。


  医療用ではベンゾジアゼピン系の睡眠薬が使われますが、これは医師の指示がないとお出しできない薬です。薬局では塩酸ジフェンヒドラミンやブロムワレリル尿素配合薬、漢方薬、鎮静作用のある植物成分の入っているものなどが販売されています。

《催眠鎮静剤》
* ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素
(中枢抑制作用により、呼吸抑制を起こすことがあるので注意すること。長期連用にも注意。)

* 塩酸ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン剤の中で、鎮静作用、中枢神経抑制作用が強い。)


Q17
疲れやすいので総合ビタミン剤を飲もうと思うのですが、病院でもらう薬との相互作用の心配はありませんか。


  食物から摂取されるビタミンと医薬品の相互作用はほとんどありませんが、サプリメントの利用により摂取量が多くなると相互作用が起こる可能性があります。医薬品の吸収・排泄が影響を受けて、効果の減弱・増強があったり、逆にビタミン過剰・欠乏症が起きることがあります。

Q18
尋常性乾癬といわれ、ボンアルファを使っていましたが、今度オキサロールに変わりました。どんな薬ですか。

  同じように活性型ビタミンD3の外用剤です。過剰に増殖し分化の不十分な乾癬表皮細胞の分化(角化)を促進させると考えられています。
ボンアルファがタカルシトール濃度2μg/gであるのに比べ、オキサロールはマキサカルシトール濃度25μg/gです。高濃度の製剤の方が効果が早く現れ、強いです。
ただ皮膚刺激症状があったり、大量に外用すると血清カルシウム値が上昇する可能性があるので、使用量は守ってお使いください。

Q19
以前、爪の周りが炎症を起こした時、抗生物質をもらったのですが、まだ残っているので風邪をひいた時に飲んでもよいですか。

  抗生物質は種類が多く病気の原因菌にあったものが選択されます。前によく効いたからといっても、他の病気には効果がないことが多いので、その時先生から処方された薬をお使いください。
なお普通の風邪の80~90%は、ウイルス感染(ライノウイルス、コロナウイルスなど)によるものです。細菌感染を合併する時は抗生物質での治療が効果的ですが、そうでなければ安静、栄養、水分補給などの一般療法が主体になり、熱、鼻汁、咳などの症状に応じて非ステロイド系消炎鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳・去痰薬などが使われます。

Q20
最近体調が悪くて病院でみてもらったら、セロトニンを増やす薬を出しましょうといわれたのですが、セロトニンって一体何なのでしょうか。

  セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られ、主に、血小板、消化管のクロム親和性細胞、中枢神経系のセロトニン神経細胞に存在しています。血小板の凝集、平滑筋の収縮、中枢神経系での神経伝達など、さまざまな生理作用に関わっているようです。現在14種類のセロトニン受容体が知られ、その機能異常により不安、抑うつ、片頭痛、精神運動興奮、認知障害、尿失禁などが起こってくることが知られています。またセロトニンの量は合成、貯蔵顆粒への蓄積、遊離、再取り込みによって調節されていて、セロトニン作動薬はこれら一連の作用機構を調節する働きがあります。

Q21
血圧が高くて、腎臓も悪くなったので入院治療をしました。血圧が正常範囲になり、体調もよいので薬を3種類も飲まなくてよいと思うのですが。

  130/85mmHg未満を降圧目標にして血圧をしっかり下げることが治療の基本です。血圧を低く保つことが腎臓を守ることにもなりますし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げることになります。長い間血圧が高く、高血圧腎症を起こしている方などには、1種類だけで薬の量を増やすよりも、腎保護作用のある降圧薬など2、3種類の薬を少量ずつ組み合わせて使われます。そのほうが長期間服用しても副作用が出にくいようです。塩分、カロリー、アルコール、蛋白制限や肥満解消、禁煙、有酸素運動なども大切です。

Q22
片頭痛によく効く薬が発売されたと聞きましたが、どこで手に入りますか。予防的に飲むものでしょうか。長期間飲んでも大丈夫でしょうか。

  片頭痛の薬としてイミグラン、ゾーミッグ、レルパックスといったトリプタン製剤が最近使われるようになりました。一般用医薬品ではなく医師の処方箋が必要な薬です。剤形としては注射薬、経口薬、口腔内速溶錠(水の飲まずに服用できる)、点鼻液があり患者さんに合わせた使い方がされます。予防薬ではなく、痛み始めて使います。30分以内に使用すると早く痛みが取れるようです。ただし使い過ぎると効かなくなる可能性が高いので、予防薬と急性期治療薬を効果的に使用して、痛みをコントロールすることが大切だと思います。生活面では、過労を避けること。ストレスを発散させること。規則正しく生活すること。人によってはチョコレートや赤ワイン、チーズが片頭痛を誘発することがあるのでそれを避け、ビタミンB群やマグネシウムの摂取を心がけるようにしてください。

頭痛発生の頻度が高い、抑制薬で効果がない、重症のため生活に支障がある、患者が予防的治療を希望するといった場合には予防薬投与が検討される。片頭痛予防効果は、頭痛の発生頻度が治療前の70~50%までに減少したら有効であると判断される。効果の出現までに最低でも2週間〜1ヶ月は必要である。1ヶ月服用時点で有効性が得られていなかったら無効と考え、他剤への変更を考慮する必要性がある。効果がある場合でも6ヶ月以上投与を続けると有効性がなくなることが多いので、3ヶ月ほど投与したら次の1〜2か月間で漸減を試みる(急激な中止は、頭痛が早期に再来することになる)。


Q23
毛染めが流行しているのですが、染毛剤でアレルギーを起こすことはないのでしょうか。

  染毛剤(ヘアダイ)に対するアレルギーは、1970年代には化粧品皮膚炎患者の1%程度でしたが、今では10%にまで達しています。パラフェニレンジアミン(PPDA)とその同系統の化学物質が入っていると、それが強いアレルゲンになり紅斑や痒み、発赤、腫脹などを起こすことがあります。血中に入ったヘアダイが全身の皮膚に痒みの強い多数の小水疱や湿疹を作ることもあります(自家感作皮膚炎)。またゴムの老化防止剤(ゴム手袋やゴム長靴など)、サルファ剤、衣類の染料にもこれと同一または類似物質が入っているので注意が必要です。

Q24
妊娠7ヶ月です。風邪で熱がありますが葛根湯を服用してもかまいませんか。

  葛根湯は、汗は出ていなくて、寒けを感じ、首筋から背中にかけてこりを感じるようなときによく効きます。今の症状が葛根湯証にあっていれば服用してもかまいませんが、本来この処方は実証タイプに用いられるもので、通常虚症タイプと捉えられる妊婦の方には桂枝湯、香蘇散、参蘇飲などが望ましいと思われます。鼻汁が伴っていれば小青竜湯、咳には麦門冬湯、咽頭炎には半夏厚朴湯、気管支炎には小柴胡湯など症状によって併用されることもあります。妊娠期間中は西洋薬と同じように漢方薬にも注意が必要です。

Q25
飲食物と薬の「食べ合わせ」「飲み合わせ」に気をつけてくださいという新聞記事を読みました。牛乳を毎日飲むようにしているのですが、薬と相互作用があるのでしょうか。それから食後に薬を飲みますが、食事による影響も考えなければならないのでしょうか。

   牛乳はカルシウムや脂肪分を多く含み、制酸作用がありますので薬と相互作用を起こすことがあります。たとえば腸溶錠(腸で溶けるように作られた薬)では牛乳のpH(6.4〜6.8)により、腸まで行く前にコーティングが溶けて、薬のききめがなくなります。ニューキノロン系抗菌剤、テトラサイクリン系抗生物質、骨粗鬆症に使われるビスフォスフォネート系薬剤などはカルシウムと反応して吸収率が下がってしまいます。皮膚角化症治療薬のエトレチナートや抗真菌薬のグリセオフルビンは、牛乳と一緒に飲むと吸収率が高まり副作用が出やすくなります。牛乳と薬の服用間隔は、薬の種類により異なりますが2〜4時間あけるとよいでしょう。また食事により胃内pH、消化管の運動性、消化管分泌液、消化管血流速度などが変化します。それで薬の吸収も影響を受ける可能性があります。


Q26
ワーファリンを服用している時は、納豆を食べてはいけないといわれたのですが、どうしてでしょうか。バファリンだと大丈夫ですか。いまナットウキナーゼの健康食品がでていますが、これは飲んでもかまいませんか。それから毎日お酒を少し飲みますが、相互作用の心配はありませんか。

 ワーファリンはビタミンK依存性凝固因子の活性化を阻害して、抗凝固作用を示します。ですからビタミンKを多く含む食品を摂取することは、ワーファリンの作用を弱めてしまうことになります。納豆は1パック約40g中に350〜520μg、クロレラは10g中に約360μg、アロエ食品は10g中に約1000μg以上含まれているものがありますので注意が必要です。他にワカメ、ひじき、パセリ、シソ、ホウレンソウなどの食品もビタミンKを比較的多く含んでいるので、続けて大量に摂られないほうがよいと思います。今までの報告では、ワーファリンの作用に影響を与える1日のビタミンK摂取量は25〜115μgだといわれています。納豆はビタミンKを大量に含む上に、納豆菌は腸管内でビタミンKを産生するので、特に避けることが大切です。なお納豆と他の抗凝固薬との相互作用は明らかではありません。 
 また納豆の中にナットウキナーゼという血栓を溶かす酵素が見つかり、健康食品として販売されています。こちらはビタミンKを含まないので、ワーファリンとの相互作用はないと思います。
 それからアルコールとの相互作用では、肝機能の正常な方が少量のアルコールを飲まれる場合はほとんど問題ありませんが、大量常飲者では肝薬物代謝酵素が誘導されるため、ワーファリンの効果が減弱することがあります。また肝障害がある場合は、ビタミンK依存性血液凝固因子の生成が減少するので、ワ−ファリンの効果が増強されることが考えられます。

Q27
熱はないのですが、乾いた咳が出始めて2週間以上続いています。今7種類の薬を病院でもらって飲んでいますが、市販のかぜ薬を買って飲んでもいいですか。

 総合感冒薬はかぜの諸症状の緩和に使われるため、解熱鎮痛成分なども入っています。熱がなくて咳症状だけでしたら、鎮咳・去痰薬を服用される方がいいと思います。それから降圧薬(ACE阻害薬)の副作用で咳が出ている時は、薬を変更したり、飲む時間を変えたりする必要があります。鎮咳薬はききません。今薬を7種類飲んでおられるそうですが、市販の薬と処方薬との重複や相互作用の可能性もありますので薬の名前を教えてください。あまり咳が長引くようでしたら、アレルギー素因の有無、喫煙、鼻汁、後鼻漏、胸やけ、降圧薬の服用の有無などを伝えて受診してください。後鼻漏、気管支喘息、胃食道逆流などでも咳が出ます。


Q28
「うつ病」と診断され、パキシル錠をしばらく飲むように言われたのですが、どれくらい飲み続けるのでしょうか。副作用の心配はないのでしょうか。「気のもちよう」でもなおるのでしょうか。

   うつ病は適切な治療と休養で必ずよくなられると思います。治療法として、薬物療法、無痙攣電撃療法、支持的精神療法、高照度光療法、認知療法、断眠療法などがありますが、なかでも薬による治療がとても大切です。抗うつ薬の効果が出るのは遅く、2週間くらいかかり、その間めまいや嘔吐といった副作用が現れることがあります。多くは一過性で対症療法で症状を軽くできるので、自己判断をせずに必ず医師にご相談ください。パキシルはこれまでの抗うつ薬と比べて副作用は少ないです。

   一般的なうつ病の治療では、患者さんの症状や年齢などを考慮して薬を選び、効果を見ながら有効投与量まで増量します。症状が改善されれば、有効投与量をそのままで4〜6ヶ月以上継続します。(最近では、少なくとも6ヶ月以上〜12ヶ月という長期投与が勧められています。)寛解状態が続いていれば、さらに3〜6ヶ月かけて少しずつ減らし、症状の再発がなければ治療を終了することになります。症状が長引いたり、再発を繰り返す場合は、もう少し長期に薬を飲むようになります。

Q29
以前薬を飲んでいる時、まっすぐに歩くのが難しくなったことがあります。すぐに薬をやめて治ったのですが、また同じ薬を、今度は少量飲んでみてくださいといわれました。どうしたらよいでしょう。


薬によっては副作用で、動作緩慢、筋強剛、振戦などパーキンソン病とよく似た症状が現れることがあります。一般には原因の薬の減量、中止、変更などで対処しますが、治療上どうしてもその薬が必要な場合は抗コリン作用の強い薬を併用して治療することがあります。

Q30
血圧が高いので病院から薬をもらって飲んでいます。知人から漢方薬をすすめられましたが、そちらに変えたほうがよいのでしょうか。それとも併用したほうがよいのでしょうか。


   中等度〜高度高血圧、悪性高血圧、急速な降圧が必要な高血圧、自覚症状のない高血圧、二次性高血圧などは西洋薬で治療されるほうがよいと思います。心身症傾向の強い高血圧、初期動揺性の高血圧、高齢者の高血圧などは漢方治療の適応になります。西洋薬で血圧のコントロールはできているのに自覚症状が取れない場合は漢方薬を加えるとよいと思います。
ただし漢方薬により治療に問題が生じることがあります。たとえば処方に麻黄(主成分はエフェドリン)を含むものは交感神経興奮様作用が強く、降圧効果を弱めてしまいます。虚血性心疾患、腎機能障害合併のかたは使用しないほうがよいと思います。拡張期血圧が高いかたにも慎重投与になっています。また甘草は量によっては、むくみが出たり血圧が上がることがあります。1日量が3g以上になるときは特に注意が必要で、体重測定、浮腫のチェック、血清K検査などを行うようにしてください。(甘草は民間薬や健康食品にも多く含まれています。)また人参は元来虚証タイプに用いられる薬ですから、実証タイプの人が使うと高血圧、浮腫をきたすことがあります。


Q31
保健機能食品とは何ですか。


保健機能食品は特定保健用食品と栄養機能食品からなり、厚生労働省が定めた制度に基づいて健康表示が許可されている食品です。そのうち特定保健用食品は、個々の製品ごとに厚生労働省が申請を受け専門家の委員会を開いて、その製品の有効性と安全性の科学的根拠が評価されます。お腹の調子を整える食品、コレステロールが高めの方の食品、血圧が高めの方の食品、ミネラルの吸収を助ける食品、骨の健康が気になる方の食品、虫歯の原因になりにくい食品、歯を丈夫で健康にする食品、血糖値が気になり始めた方の食品、食後の血清中性脂肪値が上昇しにくい食品などがあります。平成16年1月30日現在表示許可品目は410品目、表示承認品目は2品目となっています。栄養機能食品としては12種類のビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC)と2種類のミネラル(カルシウム、鉄)が指定されています。

Q32
テレビの健康番組で、生活習慣病の予防のために食物繊維がよいといっていました。どんな食品を食べればよいのでしょうか。健康食品を利用すると簡単だと思うのですが、いろんな種類の商品が出ているので、どれがよいかわかりません。選び方を教えてください。病院の薬を飲みながら健康食品をとっても大丈夫でしょうか。


   食物繊維には水溶性のもの(ペクチン、海藻多糖類、オリゴ糖など)と不溶性のもの(セルロース、キチンなど)があり、特に水溶性の食物繊維は、小腸からの糖・脂質吸収を妨げ、心疾患の危険因子である糖尿病や高脂血症の予防に役立つとされています。穀類、豆、海藻、きのこ、野菜、果物などに多く含まれます。健康食品が氾濫している現在、選択の目安になるように保健機能食品制度が2001年4月より施行されています。有効性が科学的に証明され、厚生労働省が許可した「特定保健用食品マーク」が表示された食品、および(財)日本健康・栄養食品協会のJHFA(Japan Health Food Authorization)マークが付いた食品などを選ばれるとよいでしょう。
   薬を服用されている時は、薬物服用時間と食物繊維(可溶性)の摂取時間の調整が必要な場合があります。

Q33
オリゴ糖とは何ですか。


   少糖、寡糖ともいい、2〜6糖の大きさのものを総称していましたが、最近の複合糖質研究の発展により10糖以上のものにも使用され始めています。天然のものは大部分植物界に分布しており、動物界では乳に含まれるラクトースを主体にしたオリゴ糖群と昆虫の卵、幼虫、さなぎなどに含まれるトレハロースなどだけです。オリゴ糖は水溶性ですが、蔗糖、乳糖、麦芽糖などを除いては一般に消化されにくく、そのようなオリゴ糖を特に難消化性オリゴ糖と呼んでいます。腸内細菌によって醗酵を受け、酢酸、プロピオン酸、酪酸などに転換され、それが吸収されてエネルギー源になります(エネルギー換算係数は0〜3kcal/g)。インスリンの分泌を刺激しないので糖尿病の方に適しています。腸内細菌のビフィズス菌、バクテロイデス、乳酸桿菌などはオリゴ糖を利用できますが、大腸菌、ウェルシュ菌など大部分の有害菌はほとんど利用できないので腸内環境が改善され、便秘の予防や治療効果があります。難消化性オリゴ糖摂取により血清コレステロールやトリグリセリド値が低下するという報告もあります。摂り過ぎると下痢になることがありますので気をつけてください。

Q34
貧血のようなので検査をしました。結果用紙に書かれているMCV、MCH、MCHCの値はどういうことなのでしょうか。


 MCVは平均赤血球容積、MCHは平均赤血球血色素量、MCHCは平均赤血球血色素濃度です。これらは赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値(血液中の赤血球容積比)から算出されますが、赤血球の形態学的特徴がわかり、貧血の診断に利用されます。鉄欠乏性貧血の場合は3つの値が減少します。

Q35
白血球が増えているといわれたのですが、どんな病気なのでしょうか。白血病でも増えるらしいですね。


  白血球には顆粒性の好中球、好酸球、好塩基球と、無顆粒性のリンパ球、単球があります。健康診断で好中球増加を見る頻度が一番高いのは喫煙によるものです。ほかにも好中球は感染症、自己免疫疾患、心筋梗塞、慢性骨髄性白血病などで増加。好酸球はアレルギーや寄生虫症などで増加。リンパ球は百日咳、ウイルス感染症、結核、梅毒などで増加します。単球や好塩基球が単独で増加するのはまれです。細胞の形態を顕微鏡で観察すると腫瘍性疾患の時は未熟な細胞が増加し、感染症では成熟した細胞が増加しているようです。白血病かどうかを詳しく調べるには赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、MCV、MCHC、白血球数、血小板数、網赤血球数、血液像、骨髄検査、化学染色などの検査が行われ、必要に応じて染色体分析、遺伝子検査、NAPスコア(好中球アルカリホスファターゼスコア)検査などもされます。慢性骨髄性白血病は感染症や喫煙に伴ういわゆる類白血病反応との鑑別が重要です。

Q36
虚血性心疾患といわれ、検査を受けることになりました。どんな病気で、どんな検査があるのでしょうか。


 心臓の機能を保つためには、冠状動脈から十分な酸素と栄養が供給されることが必要です。心筋の栄養、酸素の需要と供給のバランスがくずれてしまうと、虚血性心疾患になります。一過性の心筋虚血による狭心症、長時間の虚血で心筋が壊死した心筋梗塞などがあります。最近では、冠動脈粥腫の破綻とそれに続く血栓形成、内腔閉塞をおこす病態をまとめて急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome;ACS)と総称しています。
 通常検査では、安静時心電図、レントゲン、血液検査があります。その結果に応じて負荷心電図、ホルター心電図、心エコーなどが行われ、さらに必要があれば核医学的検査、CT、MRI、心臓血管造影で診断がされます。

Q37
以前に軽い脳梗塞を起こしてからバイアスピリンを飲んでいるのですが、飲み続けて大丈夫でしょうか。


 脳梗塞は再発する可能性があるので高血圧、高脂血症、糖尿病などの改善や禁煙を行い、抗血小板薬や抗凝固薬で血液の流れをよくすることが大切です。バイアスピリンは血小板の働きを抑えて血栓をできにくくする薬です。長期間服用してもあまり胃腸障害が出ないように腸溶錠になっています。


Q38
妊娠中なのですが、まだ風疹にかかっていません。ワクチンも受けていないので気をつけるようにいわれました。もしかかったらどうなるのでしょうか。ワクチン接種はいつが適当でしょうか。


   妊娠中の感染時期によって症状や重症度が異なりますが、赤ちゃんが胎盤を通して風疹ウイルスに感染し、先天性白内障・緑内障、先天性心疾患、難聴などになることがあります。先天性異常以外にも新生児期に低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、間質性肺炎など、幼児期以後に進行性風疹全脳炎、糖尿病などが起きることがあるので、今は感染しないように注意することが大切です。ワクチン接種の時期に関しては、風疹ワクチンは弱毒生ワクチンですから、あらかじめ約1ヶ月間避妊した後接種し、接種後約2ヶ月間は妊娠しないようにしてください。他の生ワクチン(ポリオ、はしか、おたふくかぜ、みずぼうそう、BCG、黄熱など)を接種した場合は、4週間以上。不活化ワクチン(三種混合、日本脳炎、インフルエンザ)を接種した場合は、通常1週間以上。ガンマグロブリン製剤の投与後は3ヶ月以上。ガンマグロブリン大量療法(200mg/kg以上投与)を受けた時は6ヶ月以上たってから接種するようにしてください。


Q39
妊娠中の検査でGBS陽性といわれて薬を出されました。飲んでも赤ちゃんに影響はないのでしょうか。

   妊婦の無症候性GBS(group B streptococcus:B群溶血性連鎖球菌)感染率は5〜30%で、発症率は、母親の年齢、妊娠回数、地理的条件などによって異なります。GBSの増殖によって、尿路感染、子宮内感染、早期破水、早産、分娩後の子宮内膜炎などを起こすことがあり、新生児がGBSに感染すると敗血症の原因になることから注目されるようになりました。この疾患の早期発症に伴う死亡率は未熟児で50%、満期出産でも25%に近く、救命できてもしばしば精神遅滞や神経学的障害を残すことが知られています。妊娠中の検査で陽性と認められたときは、その時点でペニシリンの内服治療を行う方法もありますが、再増殖して分娩時に陽性化することがあるので、分娩や破水のために入院した段階でペニシリンの点滴を行う方法もあります。GBS陽性の人から生まれた新生児には出生直後に咽頭、耳孔、口腔内の細胞培養検査を行い、陽性の場合は抗生物質投与が行われます。妊娠中の抗生物質使用に関して、ペニシリン剤は常用量でも安全とされています。

Q40

睡眠薬を飲み始めて眠れるようになったのですが、ずっと服用を続けて大丈夫でしょうか。今飲んでいる薬は強いほうでしょうか。
   近年の睡眠薬は、適正な用法・用量を守って使えば長期に服用しても危険性は少ないといわれています。でも不眠が改善されたのでしたら少しずつ減らして中止を試みることも大切だと思います。ただし自己判断で薬を中断すると、前より強い不眠になったり、不安・焦燥、ふるえ、発汗などの症状が出ることがありますので、担当医に十分相談して指示に従ってください。
   睡眠薬は血中濃度の半減期によって超短時間型、短時間型、中間型、長時間型に分類されます。薬は強弱というより、睡眠障害の型に合わせて作用時間の長さや抗不安、筋弛緩作用の強さなどにより選択されています。入眠障害の人には超短時間型や短時間型のもの、夜中や早朝に目が覚めて眠れない人には中間型以上のもの、日中の不安がある人には長時間型のものが使われます。 

Q41
長い間鈍痛があって受診したところ、「うつ病」ではないといわれたのに抗うつ薬が出されました。どうしてでしょうか。長く続く痛みについても教えてください。

   
急性の痛みは傷害を知らせる警告信号の役割をし短期で痛みが消えますが、慢性の痛みは傷害が無くなった後も長時間続くものです。痛みの伝達や制御機構の異常によると考えられます。
   痛みの情報が脳に伝わるとそれが記憶されるとともに、痛み発生部の血管が収縮します。血液の流れが悪くなり細胞が傷害されると、細胞内の発痛物質が血中に出て、さらに新しい痛みを起こします。最初の痛みを抑えられず悪循環が生じたときは、なるべく早くどこかで悪循環を断つことが大切です。限局した痛みがある場合や痛みを起こしている神経がはっきりしている場合には神経ブロックが行われます。精神的なストレスが影響している心因性疼痛の場合は、現代医学、伝統的東洋医学、心身医学などを使い分けて全身状態をよくする治療が行われます。
   痛み入力を遮断する神経(下行性疼痛抑制系)を賦活させる抗うつ薬は神経因性の疼痛によく使われます。

Q42
ハーブサプリメントとしてよく使われているエキナセアとは何ですか。医薬品と一緒に使用できますか。


   エキナセアはキク科の植物で9種類と2つの変種に分類され、そのうちEchinacea purpurea、E.angustifolia、E..pallidaの3種類が薬用とされます。何世紀も前から北米先住民族が主に傷の手当てに使用していたものですが、今日西欧では循環器系、リンパ系、呼吸器系に効果があるといわれ、軽症から中等度の風邪やインフルエンザ感染などによく使われています。免疫系を刺激し、白血球の働きを活発にしてインターフェロンの生成を促進し、細菌やウイルスの増殖を抑制するようです。
   主な成分は精油、配糖体エキナコシド、多糖類、ポリアセチレン、イソブチルアルクラミン、チコリ酸、アラビノガラクタン、エキナシンなどです。
   サプリメント製剤としては、異なる植物、異なる部位、異なる抽出法で製造された200種類以上のものがあり、品質はバラバラです。十分なデータはありませんが、免疫賦活作用によりステロイド薬や免疫抑制薬の作用を弱めてしまうことが考えられます。HIV感染、自己免疫疾患、キク科の植物にアレルギーのある人、妊娠、授乳中の人などは避けたほうがよいでしょう。

Q43
前立腺肥大症でフリバスを服用していますが、最近セルニルトンも追加になりました。これを飲むと痒くなるのですが、副作用でしょうか。二種類飲む必要があるのでしょうか。


 フリバスは前立腺、膀胱、尿道の緊張をとって尿を出しやすくする薬です。セルニルトンは複数の植物の花粉の抽出エキスを配合した薬で、作用機序についてはよくわかっていませんが、炎症をしずめたり尿道の浮腫を抑える作用があると考えられています。症状の軽い時に単独で使われたり他剤と併用して補助的に使われます。ほとんど副作用はありませんが、まれに過敏症状が出たり、胃腸障害がみられます。気になる症状は医師にお伝えください。

Q44
1歳の時に初めて熱性けいれんを起こして、今回が3度目になります。けいれんを起こした時、熱をはかると39℃もありまだ熱が続いているので心配です。解熱用の坐剤と抗けいれん用の坐剤はどのように使ったらいいですか。


 一般的に過去の熱性けいれんで持続時間が長かったり、熱を出すときまってけいれんを起こす場合は、37.5℃位のときに抗けいれん作用のあるジアゼパム坐剤0.4〜0.5mg/kgを使用します。使用8時間以後でも発熱が持続していれば同量を追加し、熱が下がっていれば使いません。2度目の使用で24時間後まで有効と考えられます。熱性けいれんは発熱初期に起こるので3回目投与は不要と思われます。坐剤を挿入する時、30分間は肛門から坐剤がもれ出ていないか確認し、もれ出た場合は新たに挿入しなおすほうが良いでしょう。一方解熱用のアセトアミノフェン坐剤は、それ自体がけいれんを誘発するものではありませんが、坐剤を使って急に熱を下げた後の体温急上昇時に、けいれんが起きることがありますので、積極的には使用しません。もしやむをえずジアゼパム坐剤にアセトアミノフェン坐剤を併用する場合は、ジアゼパム坐剤を使用してから30分以上間隔をあけてからアセトアミノフェン坐剤を使用してください。同時に挿入するとジアゼパムの効果が不十分になります。まず1回は解熱用の坐剤を使用し、その後少なめの内服用の解熱薬を使って、体温の急下降・急上昇を避ける方法もとられます。


Q45
花粉症の薬を飲んでいるとき、チーズを食べると血圧が上がるとか、抗うつ薬を飲んでるとき、マグロを食べるとじんましんが出る。とテレビで放送されていたのですが本当ですか。

 熟成年数を経たチーズにはチラミンが多く含まれます。このチラミンは普通は食べても代謝分解され不活化されてしまうので問題ありませんが、チラミンの分解がうまくいかないと発汗、動悸、血圧上昇などの交感神経刺激作用を現すことがあります。以前は鼻炎用内服薬やかぜ薬などにフェニルプロパノールアミンという成分が含まれていることが多く、チラミンと同じような交感神経刺激作用を示すので相加作用が現れる心配がありました。現在フェニルプロパノールアミンはプソイドエフェドリンに切り替わりつつあります。
 一方マグロにはアミノ酸の一種のヒスチジンが含まれ、これは魚の鮮度の低下とともに細菌の持つヒスチジン脱炭酸酵素によってヒスタミンになります。ある程度のヒスタミンなら消化管や肝臓にあるヒスタミナーゼなどの酵素で分解されますが、ヒスタミン量が多かったり酵素がうまく働かないとヒスタミン中毒が起こってしまいます。ヒスタミン中毒は速いもので食後5分、通常は食後30~60分程度、遅くとも5時間以内に発症するといわれています。症状はまぶた、口のまわり、耳などの熱感、酩酊感、顔面紅潮、頭痛、じんましん、発熱、下痢、嘔吐などです。魚の干物、イワシなどにはヒスタミンが多く含まれているので注意が必要です。抗うつ薬との相互作用に関しては不明ですが、抗結核薬のイソニアジドなどヒスタミン代謝阻害作用のある薬では症例報告があります。これらを服薬中に赤身の魚を食べるときは鮮度の高いものに限ったほうがよいでしょう。


Q46
アレルギー体質で鼻炎を起こしたり湿疹ができやすいのですが、市販の鼻炎薬や抗アレルギー薬は妊娠中でも使えますか。授乳中はどうでしょうか。

 市販の点鼻薬にはマレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬のクロモグリク酸ナトリウムの他、ナファゾリンやテトリゾリンなどの血管収縮剤が配合されています。点鼻薬などの局所投与では胎児への影響は少ないと思いますが、血管収縮剤配合の点鼻薬を連用すると二次性の充血を起こし鼻炎が悪化することがありますので気をつけてください。内服が必要な場合、マレイン酸クロルフェニラミンは催奇形性の可能性は少ないと考えられています。ただし妊娠中の薬の服用に関しては医師の指導に従われるのがよいと思います。
 一方授乳中は塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ロートエキスを含む薬は服用しないか、服用する場合は授乳を避けるようにしてください。ジフェンヒドラミンは母乳を通して乳児に昏睡がみられたとの報告があります。ロートエキスでは胎児や新生児に頻脈を起こすことがあり、母乳が出にくくなることもあります。メチルエフェドリン塩類、塩酸トリプロリジンも母乳中に移行するので添付文書ではやむを得ず服用する場合は授乳を避けることとなっています。カフェインは胎盤を通過し、また母乳中に簡単に移行するので1回分量にカフェイン100mg以上を含有するものの長期連用は避けてください。

Q47
昨年はSARSコロナウイルスなど新型のウイルスによる感染症のニュースをよく聞きました。そのウイルスはどんなものでしょうか。家庭での消毒方法などを教えてください。

    一般にウイルス粒子の大きさは20〜300nmで、中心部の核酸とそのまわりのカプシド(たんぱく質構造体)からなっています。ウイルスによってはさらにエンベロープと呼ばれる膜で包まれているものがあり、インフルエンザウイルスやSARSコロナウイルスがそれにあたります。エンベロープのあるウイルスは、ないものより消毒薬で感染力がなくなりやすいので、家庭での消毒は台所用合成洗剤のぬるま湯に溶かしたもの(濃度0.5%以上)、またはエタノール(70〜80%)で行うとよいでしょう。消毒薬を噴霧すると、ウイルスが空気中に飛散する可能性があるので可能な限り清拭をしてください。SARSが疑われるか、または確認された患者の部屋などの消毒に関しては、最寄りの保健所と相談して適切な対応を取る必要があります。

Q48
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療を受けました。4週間以上たって除菌できたかどうか検査したところ、まだ菌が残っているとのことでした。これからどんな治療を受けたらよいのでしょうか。

    現在除菌治療は、除菌率や投与法、副作用、価格などからプロトンポンプ阻害薬(PPI)*+アモキシシリン(AMPC)+クラリスロマイシン(CAM)を1週間服用する3剤併用療法だけが保険適用になっています。除菌に失敗したときは、保険で認められている療法の範囲内で1回に限り再除菌と再除菌後の感染診断が受けられますが、保険適用外の薬で治療が行われる場合もあります。

*現在のところH.pylori除菌療法で保険適用が認められているPPIは、オメプラゾールとランソプラゾールのみ。

 
Q49
高血圧でCa拮抗薬を服用していますが、この10年間に薬の種類がいろいろ変わりました。今、アダラートを服用しています。よその病院でそのことを話すと、その薬は血圧を急に下げて短時間しか効果が持続しないのでよくないといわれたのですが、本当でしょうか。

    Ca拮抗薬は、血管平滑筋や心筋へカルシウムが流入するのを抑制することにより、血管を拡張させて血圧を低下させる薬です。短時間作用型のアダラートは急速かつ過度の降圧作用を示し、臓器血流量を低下させたり反射性交感神経活動を亢進させるのであまり使われません。しかし長時間作用型のアダラートCR(1日1回服用)は、他のCa拮抗薬で降圧が不十分な患者さんに降圧効果を示したり、脈圧を減少させて心血管イベントの軽減ができるとの報告があります。尿酸前駆物質(ヒポキサンチン:HX)の産生を抑制して血清尿酸を低下させることや早朝家庭血圧のコントロールにおいて優れている可能性も示唆されています。

Q50
血圧が高くてずいぶん前から薬を飲んでいるのですが、最近利尿薬も処方されました。こんなにたくさんの薬を飲んでもよいのでしょうか。

    利尿薬は電解質、脂質、糖質、尿酸など代謝への影響が多少ありますが重篤な副作用は少ないので、少量の利尿薬を併用して、降圧薬による副作用の軽減や作用の増強がはかられます。慢性心不全、難治性高血圧、高齢者の人に特に有効と考えられます。

Q51
妊娠3ヶ月末にひどい貧血で、栄養士さんからレバーを食べるようにいわれたので、豚のレバーを食事で摂ってきました。最近になってビタミンAを摂りすぎると奇形を起こす心配があると聞いたのですが、豚レバー100gにはどれくらいビタミンAが含まれているのでしょうか。

    科学技術庁資源調査会編の食品成分表によると、豚レバーには13,000μg(約43,000IU)程度のビタミンAが含まれるようです。ビタミンAには、動物性食品に含まれるビタミンAとしてのレチノールと植物性食品に含まれていて体内でビタミンAに変わるカロテンとがありますが、少な過ぎても多すぎても催奇形性があるといわれています。多くの疫学調査によって、妊娠前3ヶ月から妊娠初期3ヶ月までにビタミンA補給剤を10,000IU/日以上継続摂取した女性から出生した児に奇形発現率の増加が認められ、厚生労働省では妊婦のビタミンA摂取量を5,000IU以下としています。また、ビタミンAの胎児毒性を防ぐためには、摂取量を3,000IU/日以下にして、β-カロテンからの摂取量を半分以上に高めるほうが望ましいという意見もあります。なお、カロテノイド*は、代謝に調節機構があるので多量に摂取しても過剰症は起こさないと考えられています。

*カロテノイドは緑色植物とある種のカビ・酵母・キノコ・細菌などのつくる黄色ないし赤色または紫色の不溶性のポリエン色素。カロテノイド色素のうち、レチノールと同様の活性を有するプロビタミンAとして、α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、クリプトキサンチンなどがあります。β-カロテンがプロビタミンAのうち一番高い活性を持ち、α-およびγ-カロテン、クリプトキサンチンが同程度の活性(β-カロテンの約1/2)を有すると考えられています。

Q52
子どもが中耳炎にかかり、抗生物質など3種類ほどの薬を長い間飲んでいるのですが、大丈夫でしょうか。

    急性中耳炎の一般的な原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラカタラリスなどですが、薬剤耐性菌が増えており、繰り返しかかったり重症になったりするケースがみられます。中耳炎には急性の鼻・副鼻腔炎を併発していることが多いので、抗ヒスタミン薬、喀痰溶解薬などもよく処方されます。低年齢児の場合は、発熱など全身症状を主訴とし、耳症状を訴えないため多くが小児科を受診しますが、耳鼻科で鼓膜切開などの処置が必要な場合もあります。耐性菌によるものでは発熱、耳漏などの症状がおさまって薬を中止すると再燃しやすいため、さらに約2週間薬を服用するように指示されたり、反復性急性中耳炎では抗生物質の長期予防投与(1~3カ月)が行われたりします。急性中耳炎が治って1〜2週間のうちに急性上気道炎にかかると、すぐに急性中耳炎を併発しやすいので、感染の機会にさらされやすい集団保育児では特に注意が必要です。受動喫煙も中耳炎発症のリスクファクターだとする報告がありますので家族は禁煙に努めましょう。

Q53
血圧が高いので塩分を減らすようにいわれていますが、1日どれくらいにしたらよいのでしょうか。食塩制限でどれくらいの利点があるのでしょうか

  高血圧が食塩、特にNa+と密接な関係にあることは古くから知られていますが、食塩制限の降圧効果は個人間でかなり違いがあり、食塩感受性は一般に、高血圧>正常血圧、高齢者>若年、女性>男性、肥満者>非肥満者、黒人>白人となっています。平均すると食塩摂取量を6g/日まで制限すると、およそ収縮期血圧が2〜8mmHg低下するといわれています。また血圧、尿中Na+排泄、糸球体ろ過量のすべてが日中より夜間に低下する正常なリズムになると報告されています。さらに降圧薬のACE阻害薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬は食塩制限で降圧効果が増強します。
  一方世界中の高血圧治療ガイドラインでは、DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension:高血圧にならないようにする食事方法)、具体的には野菜、果物、それに低脂肪乳製品を多く食べることが勧められています。この食事内容ではコレステロールは少なく、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維が多く含まれるため、天然の降圧利尿作用を示し、食塩摂取量制限と同じ効果が期待できます。


Q54
COPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断され気管支を拡げる薬をもらったのですが、喘息とどのように違うのでしょうか。日常生活ではどんな注意が必要ですか。


   COPDと喘息はともに気道の炎症を伴い、呼吸困難、息切れ、咳、喀痰などの症状が似ていますが、病因、経過、治療法などは異なります。すなわちCOPDは喫煙と強く関連しており、一般的に40歳過ぎで発症し加齢とともに悪化しますが、喘息は喫煙と直接的な関連性はなく、アトピーの割合が高く、若いときからも発症します。症状に関してもそれぞれ特徴があり、COPDの症状は階段昇降など体動時に見られることが多く、緩徐に進行し不可逆的なのに対し、喘息では抗原への曝露時や気道感染時などに発作が現れ、非発作時には症状は見られません。呼吸機能検査で両者とも閉塞性障害を示しますが、COPDは気管支拡張薬吸入後の改善が20%以下なのに比べ、喘息は20%以上の改善がみられます。以上のようにCOPDと喘息では炎症の種類が異なるので適切な治療を受けることが大切です。
    さて日常生活では喫煙が最も重要な発症因子なのでまず禁煙をすること。感染によっても増悪するのでインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種すること。COPD患者では安静時エネルギー消費量が1.2〜1.4倍に増えるので、栄養に気をつけてエネルギーは2,000〜2,300kcal(約40kcal/ kg)とし、たんぱく質90~100g、脂質50~60g、糖質300~400g程度摂取することをおすすめします。

Q55
子どもが喘息で長い間抗アレルギー薬を飲んでいるのですが、最近オノン(抗ロイコトリエン薬:抗LT薬)という薬も加わりました。どんな薬でしょうか。


    現在、小児喘息に使われる抗アレルギー薬には、メディエータ遊離抑制薬、ヒスタミンH1拮抗薬、抗LT薬、Th2サイトカイン阻害薬があり、機能別に分かれているので、患者さんの目的に合ったものが使われます。
    さてLTは肥満細胞、好酸球などの炎症細胞から産生されるケミカルメディエータの一つで、ヒスタミンの約1000倍という強力な気道平滑筋収縮作用があり、血管透過性の亢進、粘液分泌の亢進、好酸球の集積・活発化などの作用もあります。小児喘息の長期管理において、抗LT薬は間欠型や軽症持続型には第一選択薬または使用を考慮する薬のひとつであり、中等度持続型や重症持続型には、吸入ステロイド薬と併用する薬として重要です。抗LT薬を使うメリットとして@吸入ステロイド薬を使用してもコントロール不十分の場合、吸入ステロイド薬を増量するより抗LT薬を追加するほうがよいこと、A高用量の吸入ステロイド薬を長期服用している場合、抗LT薬を併用したほうが安全に減量を図れること、B運動誘発喘息、アスピリン喘息の症状改善にも効果があることなどがあげられます。
    ただし、喘息には100以上のメディエータが関与しているので、ひとつのメディエータをブロックするだけでは臨床効果が十分でないことや、抗LT薬に強く反応する人とそうでない人がいることが明らかになっています。抗LT薬の効果の有無は、ほかの抗アレルギー薬に比べて早期にわかるので、もし効果がない場合はほかの薬物に切り替えるとよいでしょう。


Q56
妻がC型肝炎にかかっているのですが、家族内で感染するのでしょうか。感染するとどんな症状がありますか。感染しているかどうか調べる検査についても教えてください。


    C型感染ウイルス(HCV)は、主に感染している人の血液を介して感染します。たとえば他人と注射器を共用した場合、C型肝炎ウイルス陽性者が使用した注射器・注射針を適切な消毒をせずに繰り返して使用した場合、C型肝炎ウイルス陽性者からの輸血、臓器移植などを受けた場合、C型肝炎ウイルス陽性者の血液が付いたカミソリや歯ブラシを共用した場合などです。性行為や母子感染の確率は低く、5%以下と報告されています。握手や抱擁、食器の共用、一緒に入浴した場合には感染しません。HCVに感染すると、全身倦怠、食欲不振、悪心・嘔吐などの症状や、これらに引き続いて黄疸、肝臓の腫大が現れることがありますが、ほとんどの場合自覚症状がないままで経過します。HCV抗体陽性の人の中には、「現在ウイルスに感染している人(HCVキャリア)」と「HCVに感染したが治ってしまった人(感染既往者)」とがいます。この2者を区別するために血液中の@HCV抗体の量を測定すること。AHCVのコア抗原を検出すること。B核酸増幅検査によりHCV RNAを検出すること。の3つの検査法が一般的に採用されています。なお、感染したHCVはきわめて早い速度で増殖するので、HCV RNAは感染してから少なくとも1~2週間後には検出可能になりますが、HCV抗体は感染後3ヶ月くらい経過しないと検出できません。

Q57
C型肝炎に対するインターフェロン療法について教えてください。


    インターフェロン(INF)は抗ウイルス作用、抗腫瘍作用を持つサイトカインです。抗ウイルスタンパクの誘導、細胞性免疫の活性化により効果を現します。C型肝炎の場合、ウイルスを体内から消失させ、炎症、線維化を沈静化させて肝硬変、肝癌への進展を阻止するために用いられます。インターフェロン製剤としては天然型INFα、INFβ、遺伝子組み換え型INFα-2a、INFα-2b、INFアルファコン-1、PEG-IFNα-2a、PEG-IFNα-2b*1があります。C型肝炎ウイルス(HCV)のserotype(抗体反応による分類)やgenotype(遺伝子相同性による分類)、あるいはRNA量で治療効果が異なります。
    INF療法にはINF24週間投与、48週間投与、長期投与、PEG-IFN48週間投与、INFまたはPEG-IFNとリバビリン24週間併用療法、48週間併用療法などがあります。リバビリン併用療法では、リバビリンに催奇形性および精巣・精子の形態変化などが報告されているので、妊娠する可能性のある女性患者およびパートナーが妊娠する可能性のある男性患者は避妊が必要です。避妊期間は投与中および投与終了後6ヶ月間です。またIFN使用による副作用はさまざま報告されているので、定期的に検査を行うなど観察を十分行うことが大切です。インフルエンザ様症状、骨髄抑制、貧血、重篤なうつ状態、間質性肺炎などの症状が見られた場合は必要に応じて減量、中止など適切な処置がとられます。機序は不明ですが漢方薬の小柴胡湯は、IFNと併用すると間質性肺炎の発症例が多いので併用禁忌になっています。
*1:PEG-IFNはポリエチレングリコール(PEG)にIFNαを共有結合させた効果持続型。


Q58
看護の仕事をしたいと思っているのですが、B型肝炎ワクチンの接種をしていたほうがよいのでしょうか。針刺し事故を起こした時の対応についても教えてください。


    B型肝炎ウイルス(HBV)に感染した医療従事者のほとんどは針刺しを経験しておらず、HBs抗原陽性の患者さんと接触があったことさえ記憶してないことが多いようです。HBVは室温の乾燥血液の中で少なくとも1週間は生き続け、皮膚の引っかき傷、擦り傷、火傷、皮膚表面から体内に入り込むことがあります。したがって、すべての医療従事者は就職時または学生のときにワクチンを接種してHBs抗体をつくっておくとよいでしょう。針刺し事故での感染は、HBV、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのウイルス感染症だけでなく、劇症型溶血性連鎖球菌感染症などにもかかる可能性があります。事故が起きた場合は、汚染血液をできるだけ体内に入れないために、受傷部位から血液を搾り出し、傷口を流水で洗浄して、次亜塩素酸ナトリウムで消毒するなどの処置をしてください。HBVは血中ウイルス量が多いため、HCVやHIV感染症に比較して事故後の感染率が高く、血液がHBs抗原およびHBe抗原両方とも陽性であればHBV感染の危険性は37〜62%との報告もあります。HBs抗原陽性血液での事故で、医療従事者のHBs抗原陰性およびHBs抗体陰性の場合、曝露後できるだけ早く(遅くとも48時間以内に)高力価HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)を注射し、HBワクチンも接種する必要があります。まれに発病例もみられますが、発病してもHBIGを注射していれば、軽症ですみます。医療従事者がHBs抗原陰性、HBs抗体陽性のときはHBIG投与の必要はありません。


Q59
B型慢性肝炎で時々検査をするのですが、HBe抗原、HBe抗体などの値は何を意味するのでしょうか。


    B型肝炎ウイルス(HBV)は、芯(コア)と外被の二重構造からなる直径42nmの球粒子です。HBVマーカーとして、HBV DNA(肝組織内・血液中)、HBc抗原・HBs抗原(粒子タンパク)、HBe抗原(可溶性タンパク)、HBV関連DNAポリメラーゼ活性があり、さらに各種抗原タンパクに対する抗体があります。HBe抗原は、HBVがヒトの肝細胞の中で増殖する際に過剰に作られ、HBV粒子のコア粒子を構成するタンパクとは別個に、可溶性の(粒子を形成しない)タンパクとして大量に血液中に流出します。HBe抗原が陽性ということは、血液中に変異のない野生株*のHBVが存在し、感染性が高いことを示します。すなわちHBe抗原陽性の無症候性キャリアは肝炎を発症する可能性があり、慢性肝炎では肝炎の活動性が高いと考えられます。HBe抗原の陰性化、HBe抗体の陽性化、DNAポリメラーゼの陰性化で肝炎は鎮静化している例が多いです。
*野生株:増殖が盛んで、可溶性のHBe抗原タンパクを血液中に流出させる能力を持つHBVのこと。

表1.B型肝炎ウイルスマーカーとその臨床的意義

HBs抗原

・HBVの外被タンパク。
・血液中にはHBV粒子および管状粒子、小型球形粒子として存在する。
・現在のHBV感染を示す。(急性肝炎、無症候性HBVキャリア、慢性肝疾患など。)

HBs抗体

・HBVに対する感染防御抗体(中和抗体)。
・過去のHBV感染またはHBワクチン接種が行われたこと示す。

HBc抗体

(低抗体価)・過去のHBV感染(多くの場合HBs抗体陽性)。

(高抗体価)・現在のHBV感染(ほとんどの場合HBs抗原陽性)。

IgM-HBc抗体

(低抗体価)・HBVキャリアやB型慢性肝炎の急性増悪期。

(高抗体価)・B型急性肝炎時。

HBe抗原

・血中HBVが多く、感染性が高いことを示す。
・無症候性キャリアは肝炎を発症する可能性がある。
・慢性肝炎では肝炎の活動性が高い例が多い。

HBe抗体

・HBVに対する中和抗体としての働きはない。
・血中HBVが少なく、感染性が低いことを示し、肝炎が鎮静化している例が多い。

HBV関連DNA-PHBV DNA

・DNA-Pはcore粒子内に存在し、血中HBV量、肝組織における増殖状態を反映。
・抗ウイルス薬の適用、効果の指標


Q60
血圧が高いので毎日薬を飲んでいるのですが、今度入院なしの手術をすることになりました。薬を一時中止した方がよいのでしょうか。

    アスピリンやワルファリンのような抗血栓薬は、手術時に出血しやすいため5〜14日前から服用を中止することが多いです(薬によって期間が異なります)。降圧薬の中にも手術24時間または48時間前は服用しない方が望ましいものがあります。事前に担当の医療スタッフにご相談ください。
    それから近年サプリメントの利用者が急増しています。いくつかのサプリメントは術中・術後の出血傾向を助長することや、麻酔薬の効果に影響を及ぼすことが知られていますので、それらを摂取している場合は合わせて伝えてください。出血しやすいサプリメントは、イチョウ葉エキス、ニンニク、朝鮮人参、ジンジャー、フィーバーフュー、ノコギリヤシ、魚油など。麻酔に影響を及ぼすサプリメントはカバ、バレリアン、セントジョーンズワート、朝鮮人参、エフェドラ(現在は発売中止)などです。おそらく術前5〜7日程度、サプリメントの摂取を中止すれば手術への影響は心配ないと思いますが、製品やロットにより有効成分の含量が異なることがあるので、余裕があれば手術前2週間は中止したほうがよいかもしれません。

Q61
関節リウマチと診断されて10年以上たちます。抗リウマチ薬を飲んで腎臓が悪くなったので、副腎皮質ステロイド剤と非ステロイド性抗炎症薬で治療をしてきたのですが、最近リウマトレックスが追加になりました。口内炎やかぜ様症状はリウマトレックスの副作用でしょうか。


   リウマトレックスは、多くの臨床試験などから高い有効性が証明されており、関節リウマチ(RA)治療で広く用いられています。厚生労働省ガイドラインでも、推奨A(行うよう強く勧められる)とされている薬です。主な副作用として嘔気、発疹、肝障害、腎障害など。重篤な副作用として血液障害(骨髄抑制など)、呼吸器障害(間質性肺炎など)、感染症などがあります。リウマトレックスは腎排泄型の薬なので、腎機能低下の患者さんには副作用が多く現れることがあります。また非ステロイド性抗炎症薬と併用すると、腎血流量の低下およびナトリウム、水分貯留傾向のためリウマトレックスの排泄が遅れ、副作用が増強されるおそれがあります。重篤な副作用の前駆症状として、口内炎、全身倦怠感、発熱、かぜ様症状、息切れ、呼吸困難などが現れた場合はすぐに受診をしてください。リウマトレックス服用中はすくなくとも4週ごとに血清クレアチニン値、BUN、クレアチニンクリアランス、白血球、血小板、ヘモグロビン量、血清アルブミン値、AST、ALTなどの臨床検査を行うことをお勧めします。

Q62
今、更年期で手足の冷えがあり、相談したらビタミンE剤をすすめられました。コハク酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロールなど表示が違うのですが効き目は同じですか。1日どれくらい飲んだらよいですか。ビタミンEを多く含む食品は何ですか。


   ビタミンEは脂溶性で、4つのトコフェロール(α-、β-、γ-、δ-)と、側鎖に3つの二重結合を持つ4つのトコトリエノール(α-、β-、γ-、δ-)の8種類があります。それぞれの生理活性(効力)は異なり、α-トコフェロールを100とすると、β-トコフェロール30〜50、γ-トコフェロール10、δ-トコフェロール2以下で、トコトリエノール類はトコフェロール類に比べ低いことがしられています。天然にはd体のみが存在し、合成ではd体と光学異性体のl体が混合されるためdlという表示がされます(生理活性の強さは天然品>合成品)。ビタミンEは酸化されやすい性質があり、製剤の安定化をはかるため酢酸エステル、コハク酸エステルの形にした医薬品が多く利用されており、両エステルの生理活性はほぼ同じと考えられます。
 厚生労働省から最近発表された「日本人の食事摂取基準(2005年版)」によると30〜49歳男性のα-トコフェロール当量の目安量は8mg/日、上限量は800mg/日。30〜49歳女性の目安量は8mg/日、上限量は700mg/日です。食事で摂取できない量を健康食品で補うようにしてください。以前は過剰摂取による有害性の指摘はなかったのですが、欧米を中心に世界各国で実施されたビタミンE投与量と総死亡率に関する研究で、1日投与量が400IU(267mg)以上では総死亡率の顕著な増加がみられたという報告がありました。死亡率上昇の原因は不明ですが、大量摂取は控えた方が良いでしょう。
  ビタミンEを多く含む食品は、植物油(コーン油、大豆油、サフラワー油)や小麦胚芽、種実類(アーモンド、落花生)などです。

Q63
ビタミン様物質とは何でしょうか。


   体の中にはビタミンに似た働きをする物質があります。たとえばユビキノン(コエンザイムQ10、ビタミンQ)、コエンザイムA、αリポ酸(チオクト酸)、ビタミンF(必須脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸)、ビタミンBt(カルニチン)、ビタミンB13(オロット酸)、ビタミンB15(パンガミン酸)、p-アミノ安息香酸、ビタミンP(バイオフラボノイド、ルチン、ヘスペリジン、エリオシトルリンなど)、ビタミンU(メチルメチオニンスルホニウムクロライド)、コリン、イノシトール、アスタキサンチンなどです。体内で合成することができ、特に摂取の必要が認められないためビタミンに分類されず、ビタミン様物質と呼ばれます。必要量は少なくていいのですが、それぞれ重要な役割があります。

Q64
目薬を薬局で買う時、どんな選び方をしたら良いですか。コンタクトレンズをはめたまま点眼できますか。


   症状や原因、アレルギーの有無、現在服用している薬剤などによって選択薬が異なります。たとえば@疲れ目にはメチル硫酸ネオスチグミン(副交感神経刺激剤)やビタミンB2,ビタミンB12など各種ビタミン剤や、充血を除去する血管収縮剤のナファゾリンなどが配合されたもの。Aプールの後の軽い充血などには涙液タイプの目薬、または塩素の刺激から目を守るタウリンや炎症を抑える成分の配合されたもの。Bものもらい、はやり目、まぶたのただれなどにはサルファ剤配合の目薬。C花粉、ハウスダストなどによる目のかゆみや炎症がある場合は、抗ヒスタミン剤や塩化リゾチーム(消炎酵素剤)、グリチルリチン酸二カリウム(消炎剤)、クロモグリク酸ナトリウム(抗アレルギー剤)など配合のもの。Dコンピューター作業時や、乾燥した環境でドライアイが疑われる場合は、塩化ナトリウムや塩化カリウムなど電解質を配合した涙液タイプの目薬。E老眼の初期などに生じる調節性眼精疲労には、メチル硫酸ネオスチグミン、毛様体の代謝に必要なビタミンやアミノ酸、電解質を配合した目薬などを選ばれるとよいと思います。
  ただし急激な視力の低下や激しい痛みを伴う場合は、角膜潰瘍や、虹彩炎、緑内障といった眼疾患の随伴症状であることもあり眼科受診をおすすめします。また抗菌剤配合のものや、ナファゾリンなどの血管収縮剤配合のものは、連用を避けて数日間の一時的使用にとどめてください。
  さて、コンタクトレンズ装着時の点眼に関しては、@コンタクトレンズのタイプ。A眼疾患へのコンタクトレンズの影響。B点眼剤のコンタクトレンズへの影響。Cコンタクトレンズを外せない理由。D医師からの指示。などの観点から検討が必要です。ソフトコンタクトレンズや酸素透過性ハードコンタクトレンズ装着時には一部の涙液タイプの目薬以外は点眼できません。角膜などに傷や炎症がある場合はレンズ装着により病状が悪化しますし、そうでなくても点眼剤に含まれる防腐剤や主剤がレンズに吸着し、レンズ自体を傷めたり、吸着物が角膜を傷つける可能性があるからです。ゲル化剤の点眼剤や眼軟膏はレンズの種類を問わず、装着したまま点眼できません。コンタクトレンズを外して点眼する場合、再装着までの時間は、水溶性点眼薬の場合は5分、懸濁性点眼薬は10分、ゲル基剤点眼薬は30分から1時間が目安です。なるべく十分時間をおいて再装着をしてください。

Q65
目薬が後発医薬品にかわりました。成分は同じらしいのですが差し心地が違います。大丈夫でしょうか。それから2種類以上の目薬を併用する場合の点眼順序を教えてください。


   先発医薬品と後発医薬品では主成分が同じでも添加剤が違う場合があります。特に、防腐剤(保存剤)によって、開封後の薬の安定性や眼刺激などの副作用発現頻度が異なりますので、心配な症状があればかかりつけの医療機関でご相談ください。さて2種類以上の点眼薬がある場合、最初に点眼した薬は、後の薬によって洗い流されるので5分程度間隔をあけて点眼するようにしてください。点眼順序は、一般的に次のように行うのが適当だと思います。
@医師からの指示が出ている場合は、指示通りに行う。
A最初に点眼した薬のほうが結膜嚢からの排出が大きいので、主剤と考えられるものを後から点眼する(たとえばビタミンB2点眼薬と抗生物質製剤が処方された場合、抗生物質製剤を後から点眼する。)
B涙のpHは7.0~7.4なので、これに近い中性のものを先に点眼し、後に酸性度の高いものを点眼する。(中性のものを先に使用したほうが刺激が少なく、流涙が少ないので眼内移行の効率が高まる。ザジテン点眼液やロメフロン点眼液などは、刺激性が強いので後に点眼する。)
C懸濁性点眼液は水に溶けにくく吸収されにくいので後から点眼する。(ただし、ピレノキシン製剤のカリーユニ点眼薬は、懸濁粒子が涙液により10秒以内に溶解するので、涙液のpHが変動していない最初の点眼が望ましい。)
D 眼軟膏は水性点眼液をはじくので最後に塗布する。
E 点眼後にゲル化する点眼液は、薬物滞留性を効果的に発揮させるため、後から点眼する。
F 臨床経験によって効果が高いことがわかっている場合は、その順序で行う。(緑内障に使われるマレイン酸チモロールと塩酸ジピベフリンでは塩酸ジピベフリンを先に点眼したほうが眼圧降下作用が強く現れる。)


Q66
健康食用油の表示に、中鎖脂肪酸、植物ステロール、必須脂肪酸など書かれています。どんなもので、どんな効果があるか教えてください。

   中鎖脂肪酸は炭素数8~10の飽和脂肪酸です(普通の植物油に含まれている脂肪酸は炭素数18個程度の長鎖脂肪酸)。母乳、牛乳、乳製品の脂肪分には3~5%、ヤシ油、パーム核油などには5~10%程度含まれます。中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べ、消化吸収が約4倍速く、門脈を経て直接肝臓に運ばれ速やかに分解されてエネルギーになるといわれています。
    植物ステロールは植物の細胞の構成成分の1つで、豆類や穀類の胚芽に多く含まれます。コレステロールと構造がよく似ていますが、ヒトは植物ステロールを吸収せず体外に排泄するため、食事で摂ったコレステロールの吸収を抑えることができるようです。
   必須脂肪酸は体内で合成が行われないため、食事や静脈栄養法により摂取しなければならない脂肪酸の総称で、通常はリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸のことをいいます。二重結合の位置からα-リノレン酸はn-3系と呼ばれ(DHAやEPA*もn-3系)、リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸はn-6系と呼ばれます。以前から動脈硬化が進むのを抑えるために飽和脂肪酸を避け、リノール酸などの多価不飽和脂肪酸を摂るように勧められてきましたが、数年前からリノール酸を摂り過ぎるとHDLコレステロール(善玉コレステロール)も低下しやすいこと、慢性炎症性疾患の悪化や発症率が増加すること、アトピー性皮膚炎や花粉症へ関与する可能性などが指摘され始めました。日本脂質栄養学会では、癌、成人病、アレルギー過敏症などの予防の観点から脂質エネルギー比率を20%にするとともにn-6系/n-3系を2にすることを推奨しています。なおオリーブ油に多く含まれるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)は善玉コレステロールを下げずに、悪玉コレステロールだけを下げることやリノール酸に比べ酸化されにくいことが確認され、食生活に上手に取り入れるよう勧められています。
*DHAはドコサヘキサエン酸。EPAはエイコサペンタエン


Q67
加齢黄斑変性症といわれました。進行を抑えるために、自分でできることがありますか


  この病気の原因ははっきりわかっていませんが、長期にわたる可視光線によるという指摘があります。効果が確かな予防法や薬物治療はない状況ですが、網膜の光障害には抗酸化ビタミン剤や抗酸化酵素が有効だとする研究がありますので、ビタミンC、E、βカロテン、銅、亜鉛などを適量摂取することをおすすめします。また黄斑の色素濃度を増加させるルテインを食品やサプリメントで補うこともよいようです。ルテインを多く含むのは、ブロッコリーやほうれん草、ケール、トウモロコシなどです。危険因子として、可視光線のほかに喫煙、血清コレステロール、高血圧などもあげられています。生活習慣病にならないような生活が予防として重要と思われます。なお最近、治療法において、新しく光線力学的療法が開始され期待されています。この療法は脈絡膜新生血管に親和性のある光感受性物質(ベルテポルフィン)を静脈内投与後、レーザー光を照射して新生血管を選択的に傷害、閉塞させようというものです。ただしリスクもありますので担当医から十分説明を受けてください。

Q68
アルコールは飲みませんが、検査で脂肪肝とγ-GTP値上昇を指摘されました。薬でそうなることがありますか。


   脂肪肝は肥満、アルコールや糖質の過剰摂取、糖尿病などが原因のことが多いのですが、薬によっても起きることがあります。原因薬剤としては、副腎皮質ホルモン、テトラサイクリン系抗生物質、アスピリン、バルプロ酸(抗てんかん薬)、アミオダロン(抗不整脈薬)などです。薬物性脂肪肝が起きる機序はさまざまでDNA、RNA、蛋白合成障害、細胞膜障害など多くのケースがあり、肝臓に中性脂肪の沈着やリン脂質の蓄積が起こります。単純な脂肪肝もありますが、非アルコール性脂肪肝炎(NASH:nonalcoholic steatohepatitis)や肝不全を起こす重篤な脂肪肝もあるので注意が必要です。γ-GTP値は、肝臓病、胆石や胆道系のがん、原発性胆汁性肝硬変などの病気のほか、抗てんかん薬、向精神薬、副腎皮質ホルモンなどの服用でも上昇します。

Q69
単身赴任の夫が毎日アルコールを飲んでいるようなので心配しています。1日どれくらいの量だったら大丈夫なのでしょうか。検査値についても教えてください。サプリメントでは何が良いですか。


    日本人や欧米人を対象とした研究から、男性については1日あたり純アルコール10~19g、女性では1日当たり9gまでで最も死亡率が低く、1日当たりのアルコール量増加に伴い死亡率が上昇することが示されています。したがって通常のアルコール代謝能を有する日本人の「節度ある適度な飲酒」は、1日平均純アルコール約20g程度(日本酒だと1合)と考えられます。ただし、女性、すぐ顔が赤くなる人、高齢者の方は、より少量が適当だと考えられます。アルコール性肝障害で最も早期に起こるのが脂肪肝です。たとえば日本酒を約5合、1週間継続して飲んだだけでも脂肪肝になることがあり、日本酒3合以上を5年以上飲んでいる人の50%以上が脂肪肝になっています。そして脂肪肝の人が大量飲酒を続けていると、その約20%の人にアルコール性肝炎が発生するといわれています。アルコール性肝炎からさらに進行して肝臓の変性・壊死が著しくなると、アルコール性肝線維症や肝硬変になります。男性の場合、日本酒約5合を20年以上、女性の場合、男性の約2/3の量を約12年間飲んだ時に、このような状態になる確率が高くなると報告されています。
    ところで検査に関しては、アルコール性肝障害では、γ-GTP(グルタミルトランスペプチダーゼ)が必ず上昇します。これは肝臓の解毒に関係している酵素で、肝臓や胆管の細胞がこわれると血液中に流れ出てきます。この正常値は男性で50IU/L、女性で32IU/L以下です。100IU/L以上になった場合は、かなりお酒の飲み過ぎで脂肪肝が進んでいる可能性がありますので厳格な節酒か禁酒が必要です。200IU/L以上ではアルコール性肝障害だけでなく、胆石や胆道がんの心配もありますので、詳しい検査をしてください。病院ではγ-GTPのほかに、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、GOT)やALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ、GPT)、ALP(アルカリホスファターゼ)などの逸脱酵素を調べたり、腹部エコー検査が行われます。持続的な強い肝障害(急性肝炎上昇期・極期、劇症肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害)では、AST/ALT比が上昇し、比較的穏やかな肝障害(急性肝炎回復期、慢性肝炎、肥満による脂肪肝)では、AST/ALT比が低いことが知られています。
    以前から肝臓病の食事として、高たんぱく質・高カロリー・高ビタミンがよいといわれ、なかでもシジミやウコンは肝臓に良いとされてきましたが、肝臓の鉄が過剰になると活性酸素が出て肝障害や癌化の原因になることから、鉄分の多いこれらの食品やレバー、海藻類、ほうれん草、クロレラ、アガリクスなどの摂取には注意が必要と考えられるようになってまいりました。(特にC型肝炎では慢性化の進行により肝臓組織内の鉄含有量が増加するので、鉄分を控えた食事療法がすすめられます。) 代謝酵素を活性化するL-システイン(含硫アミノ酸の一種)や抗酸化作用のあるビタミン、肝庇護薬(グリチルリチン製剤)などは肝障害のリスクを少しだけ減らせる可能性はありますが、お酒の好きな方にとって最も大切なのは、「節度ある適度な飲酒」です。
    アルコール性肝炎では、禁酒、高たんぱく食(1.5g/標準体重1kg)と、緑黄色野菜などビタミン豊富な食事にする必要があり、通常、禁酒により速やかに症状や肝機能の改善が得られますが、なかに重症型アルコール性肝炎と診断されるものもあります。禁酒しても肝腫大が持続し、肝性脳症、肺炎、急性腎不全、消化管出血、エンドトキシン血症などを合併し、多くは1ヶ月以内に死亡するので、早期の治療が必要です。

表1.主な酒類の換算の目安

お酒の種類

ビール(中ビン1本500mL)

清酒(1合180mL)

ウイスキー、ブランデー(ダブル60mL)

焼酎(35度)(1合180mL)

ワイン(1杯120mL)

アルコール度数(%)

   5

  15

    43

   35

   12

純アルコール量(g)

   20

    22

        20

      50

     12


Q70
子宮内膜症と診断され、十数年前からいろんな治療を受けてきましたが、いま低用量ピルを使っています。調子は良いのですが、経口避妊薬がどうしてこの病気に効くのでしょうか。また副作用でどんなことがありますか。


   低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンからなっていて、これを経口摂取すると体の中の制御機構が働き、卵胞発育と排卵が抑制されます。ピルの副効用としては、排卵がないので排卵に伴う下腹痛がなくなること、女性ホルモン状態が一定化されるので内膜症病巣へのホルモン刺激が減少すること、黄体ホルモンの作用により内膜症組織が脱落膜化し萎縮することなどがあります。この副効用により子宮内膜症の症状が改善されると考えられます。
 ピルを長期間服用すると、心筋梗塞、静脈血栓塞栓症、脳梗塞などを起こしやすくなることや乳癌、子宮頸がん、肝良性腫瘍などのリスクが少し高くなることが報告されています。またピル服用初期には、ホルモン環境が変わるため悪心・嘔吐、頭痛、性器出血などが現れることがあります。

Q71
寝るとき、まるで虫がはっているように脚がむずむずします。これは病気でしょうか。症状を改善する方法がありますか。薬を長く飲んでいるのでその副作用でしょうか。


 活動していないときや休んでいるときに、膝から下の部分にむずむずするような気持ちの悪い感覚が起こる病気に、むずむず脚症候群またはレストレスレッグズ症候群(RLS)と呼ばれるものがあります。 
  なぜこのような症状が起こってくるかまだ不明ですが、特発性RLSと別の病気の結果として出てくる二次性RLSが考えられています。特発性RLSはしばしば家族内にみられることから発症にかかわる遺伝子の研究がされています。二次性RLSは胃切除後や鉄欠乏性貧血、妊娠などに合併してみられることがあり、原因の1つに血清鉄の低下が指摘されています。このほか感染性疾患、静脈瘤、糖尿病などの種々の代謝性疾患などに合併して現れたり、薬や寒冷刺激により誘発されることが報告されています。RLSの原因になる薬として、Ca拮抗薬、吐き気止めの薬、一部のかぜ薬やアレルギーの薬、強力な精神安定剤、抗けいれん薬、抗うつ薬などがあげられています。
  RLSの治療でまず行うことは、基礎疾患の治療、原因薬の検討、睡眠衛生の見直し・バランスのとれた食生活などです。カフェインは最初症状をやわらげるようですが、実際は、症状が現れるのを遅らせるだけで後から強くなることが多いので、カフェイン入りの食品はとらないこと。同様にアルコール類も避けること。必要ならビタミンやミネラル類を補充すること。適度な運動をしてより良い睡眠をとること。もしこれらによっても改善しなかったり重症の場合は、薬物療法を導入することになります。どのお薬にもそれぞれ利点、限界、そして副作用がありますのでかかりつけの医療機関でよくご相談ください。


Q72
時々、口唇ヘルペスにかかります。どんな時になるのでしょうか。日常的に栄養剤などを飲んでいたほうがよいのでしょうか。


  口唇ヘルペスは、潜伏感染状態にあった単純ヘルペスウイルス1型が、何らかのきっかけで再び活動を開始して増殖した結果おこるものです。この再活性化は、過労、寒冷、感冒、月経、紫外線など生体へのストレスによって生じることが多く、ヘルペスウイルスが宿主を捨てて他の宿主へ移動しようとする行為と考えられています。そのメカニズムはほとんど明らかにされていませんが、疲労対策をすれば口唇ヘルペス発症リスクを減らせる可能性はあると思います。さて疲労回復の方法は休息や気分転換、滋養強壮剤、笑い、アロマセラピー、アニマルセラピーなどいろいろ挙げられると思います。一般用医薬品や健康食品などの中では、ビタミン剤、クエン酸、アミノ酸、α-リポ酸、CoQ10、L-カルニチン、強壮生薬成分などが疲労回復効果があります。


Q73
ケルセチンが体に良いと聞きましたが、どんな作用がありますか。食品では何に多く含まれますか。サプリメントで補うとすれば、どれくらい摂ったらよいですか。


  ケルセチンは、野菜類に広く含まれるフラボノイドの一種です。以前、フラボノイド類は非栄養素成分として扱われていましたが、最近では抗酸化作用をはじめさまざまな生理活性があることが確かめられ、健康維持や疾病予防に使われるようになりました。ケルセチンは、他のフラボノイドに比べより強い活性を発揮することが多く、抗動脈硬化作用や抗ストレス作用も期待されています。ケルセチンの含量が高いタマネギには、可食部100g当たり28〜50mg程度含まれています。健康食品としてのケルセチン摂取量は、500mg1日2回を1ヶ月までならば、おそらく安全であろうとされますが、それ以上の量、期間の安全性は確かめられていません。


Q74
手足が冷えるので寒い時期はとてもつらいのですが、なにか良い薬はありませんか。


  「冷え」の要因には、貧血、低血圧、自律神経失調、性ホルモン異常、甲状腺機能低下症などがありますが、原因が特定できないときは西洋薬より漢方薬治療を選択するとよいでしょう。漢方治療では望診、聞診、問診、切診からなる診察法があり、@消化機能が低下して冷える。A体全体が冷える。B足は冷えるが、顔はのぼせる。Cストレスが高じて冷える。D水毒によって冷える。E老化によって冷える。などの症状や体力・体質、症状の経過などから「証」が考慮されます。よく使われる方剤は、「呉茱萸」「当帰」「桂枝」など、冷えを改善する生薬が含まれるものです。


Q75
白血病は急性と慢性でどのように違うのでしょうか。急性骨髄性白血病はどんな治療が行われますか。


  急性白血病は造血幹細胞が赤血球、白血球、血小板などの血球細胞に分化・成熟する過程で分化が停止して未分化な芽球細胞が増殖する病気です。慢性白血病は分化・成熟する能力はあるものの、分化した細胞が各成熟段階で調節能を逸脱して増殖を続ける病気です。急性白血病は、未治療なら数ヶ月以内で死の転帰をとりますが、慢性白血病は、未治療でも数年の慢性経過をとります。
  急性骨髄性白血病の治療は@化学療法、A補助療法、B造血幹細胞移植に大きく分けられ、@はさらに寛解導入療法、地固め療法、維持・強化療法に分けられます。化学療法による治療成績は向上していますが、病型によって改善が見られる群とそうでない群があります。

Q76
掌蹠膿疱症の治療にビオチンを使うことがあるとききました。ビオチンとはどんな薬ですか。


  ビオチンはビタミンB群に属する水溶性のビタミンです。欠乏すると皮膚炎が発症することからビタミンHとも呼ばれています(ドイツ語のHaut=皮膚)。ビオチンはレバー、卵黄、穀類など天然食品の中に含まれていて、腸内細菌によっても合成されるので通常では欠乏は起こらないとされてきましたが、ビオチン摂取量の低下や吸収の阻害、先天性の代謝障害などで欠乏症になることがあります。今まで、血中ビオチン値の低いアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、掌蹠膿疱症の患者に経口投与して皮疹の改善が見られたという報告があります。

Q77
しみの治療にトレチノインがいいと聞きましたが、どんな薬ですか。どんな副作用がありますか。


   トレチノイン(オールトランスレチノイン酸)はビタミンAの誘導体で、生理活性はビタミンAの約50〜100倍といわれています。皮膚に対しては、角質をはがしたり、皮膚の再生を促したり、皮脂の分泌を抑えたり、コラーゲンやヒアルロン酸の分泌を高める作用があります。海外ではその外用剤がニキビや小ジワの治療薬として広く使用されています。日本ではニキビ患者を対象にトレチノイン配合ローションの治験が行われましたが、高頻度に刺激症状がみられたため中断され、現在まで外用では保険適用が認められていません。内服では、急性前骨髄球性白血病治療薬として承認されており、トレチノインとビタミンEの化合物であるトレチノイントコフェリルは、褥瘡、皮膚潰瘍の外用治療薬として承認されています。
 レチノイド外用薬の副作用は、皮膚炎症状(落屑、紅斑など)、それによる炎症後色素沈着の可能性、催奇形性などです。外用での催奇性は、血中に入る量が内服薬の1/1000のオーダーなので非常に低いと考えられますが、レチノイド外用薬を使用中は避妊をされたほうが良いと思います。

Q78
微熱や咳などの症状が2週間以上続きます。ただの風邪と違うのでしょうか。どんな薬が効きますか。


   かぜの病因の大部分はウイルスであり、鼻症状にはライノウイルスやRSウイルス、咽喉頭症状にはアデノ、コクサッキー、パラインフルエンザなどが関わっていることが多いようです。およそ1週間で回復し予後は良好です。突然に38〜39℃以上の発熱、頭痛、倦怠感、関節炎など全身症状から始まるものはインフルエンザです。
 かぜ症状が長期に続いている場合は、肺結核、肺癌、肺炎、慢性気道疾患などの鑑別のため胸部X線検査を受けられるのが良いと思います。痰が多い場合は、抗酸菌検査を含む細菌学的検査。肺癌が疑われる場合は細胞診。アトピー咳嗽の可能性があれば好酸球の有無の検査。血液検査ではCRP、白血球数および分画、IgE値、場合によりマイコプラズマやクラミジアの抗体価を調べられると良いでしょう。咳型喘息とアトピ
ー咳嗽の鑑別には、気道過敏性試験を含む肺機能検査が有用です。
 さて治療では、膿性の痰が出て肺炎や気管支炎、慢性気道感染症の増悪などの細菌感染症が疑われた場合は、抗菌剤を使用します。肺炎球菌やインフルエンザ菌による場合は、β‐ラクタム系薬、フルオロキノロン系薬が使用されることが多いです。マイコプラズマやクラミジアによる気管支炎の場合は、β‐ラクタム系薬は無効であり、マクロライド系やテトラサイクリン系薬が用いられます。

Q79
春季カタルとは、どんな病気ですか。どんな治療が行われますか。


  重症型アレルギー性結膜疾患の一種で、アトピー体質の学童、特に男児に多くみられます。通年性アレルギー性結膜炎と症状が似ていますが、角膜に影響を及ぼすことが多く、悪化時には激しいかゆみや、異物感、眼を開けていられないほどの痛みがあります。また、永続的な視力低下につながることがあります。
 治療は抗アレルギー薬使用が基本ですが、増殖性変化を伴う場合は、ステロイド点眼液、免疫抑制点眼液の投与が必要になります。これらの治療でも良くならない場合は、ステロイド薬の局所注射、巨大乳頭切除術を併用し、角膜シールド潰瘍や角膜プラークには角膜掻爬術が行われます。

Q80
味覚異常や褥瘡には亜鉛を多く含む食事がよいと聞きました。どんな食品に多く含まれていますか。サプリメントとして補って安全なのでしょうか。

   亜鉛は体内の多くの酵素に含有され、たんぱく質や核酸の代謝に関わったり、免疫機能全般に大きな影響を及ぼしています。一般に味覚を正常に保ったり、皮膚や粘膜の健康維持を助けたり、生活習慣病を予防する働きがあるといわれ、亜鉛が不足すると成長障害、食欲不振、味覚障害などを起こします。
   亜鉛を多く含む食品は牡蠣、かに、肉類、魚類、海藻(のり、てんぐさ、わかめ)、種実類、乳製品などです。
   安全性については、40mg/日以下の経口摂取ならば問題ないと思われますが、過剰摂取により神経症状、免疫障害、銅欠乏症などを起こす恐れがあります。亜鉛アレルギーの人、HIV感染者の過剰摂取は禁忌とされています。また乳幼児や小児は、あえて錠剤やカプセル剤の形状で亜鉛を補給する必要性はない旨の注意喚起がされています。

Q81
不整脈で心房細動があるのがわかり、脳梗塞を予防するためにワルファリンを飲んでくださいといわれました。血を固まらせないようにする薬は他にもあると聞きますが、私はワルファリンを飲まなければならないのでしょうか。それから日常生活で気をつけることがあれば教えてください。

   血栓の予防には抗凝固薬(ワルファリン)と抗血小板薬(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジンなど)が用いられていますが、静脈の血栓や肺塞栓には前者を、動脈硬化に基づく血栓には後者を使用するのが原則です。さて心房細動は、脳塞栓症をはじめ体循環系塞栓症を起こしやすいので、予防のための抗血栓薬の服用はとても重要です。脳塞栓症の危険因子(75歳以上、脳塞栓症または一過性脳虚血発作を起こしたことがあること、高血圧、糖尿病、心不全など)に応じて抗血栓薬が選ばれ適切なINR(international normalized ratio)を維持するようにします。リスクが全くない場合は、抗血栓薬なしで経過を見たり、アスピリンやチクロピジンなどの抗血小板薬で予防治療が行われることもありますが、1つ以上のリスクがあればワルファリン服用が有用とされています。
 日常生活での注意点は不整脈の重症度によって異なりますので、医師にたずねて詳しい説明を求めてください。一般的に運動誘発性の不整脈では、心拍数上昇につながる運動や心臓に負荷がかかる行動は控えたほうがよいと思います。発作性心房細動では、昼間に発症しやすいタイプと夜間に発症しやすいタイプがあり、昼間に発症しやすいタイプでは、交感神経の緊張で出現しやすいので激しい運動は避けるように、夜間に発症しやすいタイプでは、副交感神経の亢進が関与する日中の過労や夕食後の深酒を慎むように気をつけてください。喫煙は高血圧や心臓病に悪い影響を与えるため、直接、間接に不整脈を悪化させます。それからワルファリン服用中は食事にも注意が必要です。納豆やクロレラなどビタミンKを多く含む食品はワルファリンの効果を減弱させるので摂取を控えてください。また新たに他の薬が増えたり、中止になった場合は作用が変化する可能性があるため、必ず医療機関で飲み合わせなどを確認してください。抜歯などの処置を行う場合は事前に申し出ることが大切です。

Q82
双極性障害と診断されたのですが、どんな病気なのでしょうか。リチウムやてんかんの薬が効くのでしょうか。

   双極性障害は爽快気分(躁)の時期と抑うつ気分の時期が交互に現れる病気です。これらの時期が1回で終わることは少なく、予防療法をせずに放置すると、多くの場合再発し、年とともに再発までの間隔が短くなる傾向があります。幸い、予防のために有効な薬を上手に使用することで、かなりの程度コントロールすることができます。
   治療薬としてはリチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸などの気分安定薬がよく使用されますが、これらの薬が効果を示すには10〜14日かかり、完全に回復するには4〜6週間必要です。躁病の急性期では気分の高揚、易怒性に不眠を伴うことが多く、この不眠に対しては抗精神病薬やベンゾジアゼピン系の睡眠薬を追加することが多いです。また抑うつが強い時期には、気分安定薬と抗うつ薬を併用して治療が行われます。


Q83
口が乾燥して、食べ物が飲み込みにくかったり、話しにくかったりします。どうしたらよくなりますか。

   口が乾燥する原因として、@生活習慣(濃い味付け、偏食、ストレス、咀嚼回数の減少、水分摂取不足、過度の飲酒、喫煙、口呼吸など)や脱水、高熱、出血、浮腫、A口腔乾燥を起こす疾患(甲状腺機能亢進症、性ホルモン失調症、尿崩症、糖尿病、尿毒症、肝硬変、リウマチなどの自己免疫疾患、鉄欠乏性貧血)、B薬の副作用、C放射線療法による唾液腺細胞の破壊や加齢による唾液腺の変性、萎縮、Dビタミン欠乏(B1、B2、B6、葉酸)、Eシェーグレン症候群などがあります。
   治療はそれらの原因によって大きく異なり、糖尿病などに伴う口腔乾燥症では、まずその病気の治療を行います。薬の副作用で起きている場合は、薬剤の見直しや減量を検討しますが、唾液腺の機能は正常なので薬を中止すると回復する可能性があります。唾液腺機能が残存している場合は、機能賦活療法や薬物療法(内服薬)が有効ですが、消失している場合は、うがい薬、軟膏剤、人工唾液などが使用されます。規則正しい生活、休養、バランスのとれた食事、適度の運動、ストレスの軽減なども大切です。

Q84
乳癌と診断され手術を受けました。手術後、再発防止のために注射と飲み薬で治療されるそうです。どんな薬が使われるのでしょうか。飲み薬は5年間ほど飲んでくださいとのことでしたが、それほど長い期間飲まなければいけませんか。薬の副作用についても教えてください。

    乳癌の手術後の薬物治療には、ホルモン療法、化学療法、分子標的療法などがあります。
    乳癌患者の約7割はホルモン受容体を持っており、その場合女性ホルモン(エストロゲン)の刺激ががんの増殖に影響することから、再発予防のためにエストロゲンの働きを阻害する薬が用いられます。閉経前後で治療薬が少し異なりますが、抗エストロゲン薬であるタモキシフェンは、閉経前後、リンパ節転移の有無などに関わらず使用され、5年間服用することが推奨されています。副作用は、比較的軽微ですが、子宮体がんや血栓症のリスクを少し高めることが知られています。不正出血などの異常がみられた場合は、医師に連絡してください。
    閉経前に使用されるLH-RHアゴニスト製剤は通常月1回皮下注射、2年間までの使用です。主な副作用はエストロゲン低下作用に基づく更年期障害、骨塩量の低下などです。飲み始めてすぐに、血中エストラジオールが一過性に高くなるため骨性疼痛が起こることがありますが、その時は鎮静剤が使われます。
    閉経後に使用されるアロマターゼ阻害薬は、主に副腎由来のアンドロゲンからエストロゲンを生成する過程で働くアロマターゼという酵素を不活性化させる薬です。約5年間の服用が勧められます。長期間服用する場合は、骨塩量の低下が伴うので骨粗鬆症を予防するような生活・食事を心がける必要があります。ビスホスホネート製剤が使われることもあります。
    ホルモン受容体陰性の人は化学療法中心の治療になり、代謝拮抗剤(5-FU、メトトレキサートなど)、タキサン系薬剤(パクリタキセル、ドセタキセルなど)、アントラサイクリン系薬剤(ドキソルビシン、エピルビシンなど)、アルキル化剤(シクロフォスファミド)など多剤併用が行われます。化学療法剤は本来がん細胞を死滅させる目的で使われますが、細胞増殖の盛んな骨髄、消化器粘膜、毛根などの正常な細胞まで抑制するため副作用が問題になります。白血球減少、好中球減少、易感染、悪心・嘔吐、脱毛、口内炎、心毒性、全身倦怠感、発熱、壊死性抗がん剤の血管外漏出での皮膚障害など多くの副作用が報告されています。医療機関でよく説明を受けて早めに対応してもらってください。
    分子標的治療薬のトラスツズマブは、HER2蛋白あるいはHER2遺伝子を過剰に持っている人に効果があることが確認されています。わが国では転移性乳癌に対して、週1回投与法しか保険適用がありませんが、海外の大規模臨床試験では、術前化学療法においてもHER2陽性の手術可能な早期乳癌術後にも効果があることが示されています。がん組織に特異的な蛋白を標的にしているため、骨髄抑制の発現頻度は低いですが、発熱、嘔吐などが30〜40%程度みられます(点滴開始直後に現れることが多い)。心障害にも注意が必要です。
    乳癌の薬物療法に関する研究はめざましいものがあり、薬剤併用の方法や期間についての臨床試験や新薬開発が続いています。国立がんセンターやキャンサーネットジャパンではインターネットで情報を提供していますので参考になさってください。


Q85

2型糖尿病と診断され、体重を減らすようにいわれたのですが、食事ではどんなことに気をつけたらよいですか。アルコールは少しなら飲んでもよいのでしょうか。

    2型糖尿病の食事療法は、@蛋白質、脂質、炭水化物という3大栄養素をバランスよく摂ること、A摂取エネルギー量を適正な範囲に制限すること、B毎日、規則正しく3食摂取すること、C食物繊維が豊富な食品(野菜、海草類、豆類、イモ類、こんにゃくなど)を積極的にメニューに取り入れることなどが基本になります。
    必要エネルギー量は個人差があり、標準体重と身体活動量から計算します。肥満を伴った糖尿病患者では、体重維持に必要なカロリーより200〜500kcal少ないカロリー摂取が勧められています。 
    血糖コントロールが良好にできていて合併症がない場合は、適度な飲酒に限り許可されるようです。しかしアルコールは少量飲んでも食欲が増すので、過体重の人や、血糖コントロールの悪い人はひかえましょう。神経障害や高脂血症を合併している糖尿病患者も、糖尿病による神経障害がアルコールによって相加されることや、飲酒で中性脂肪値が上昇しやすいことから、原則として禁酒すべきです。またアルコールは肝臓でのグルコース新生を抑制するので、インスリン治療や経口血糖降下剤を使用している場合、低血糖を起こすことがあり、注意が必要です。

Q86
ギンナンが体によいと聞いて、1年ほど前から毎日6粒ずつ食べています。最近、頭がふらふらしたり、舌がしびれるのですが、どうしてでしょうか。

    中国の薬物書「本草綱目」によれば、ギンナンは「白果」と称され、内用で痰の多い咳、気管支炎などに、また外用では皮膚疾患などに用いられていました。しかし、ギンナンの多食は、頭のふらつきを引き起こし、特に小児の場合では痙攣を伴う中毒症状を引き起こすことがあると記載されています。最近の研究からギンナン中毒は、ビタミンB6の作用が阻害されることが原因であるとわかっています。続けて摂取するのはやめてビタミンB6製剤を服用してみてください。
    一般に、ビタミンB6は腸内細菌による補給や多様な動植物食品中から摂取できるので、欠乏することは少ないと考えられます。しかし、抗生物質を連用するなどの結果、腸内細菌叢のバランスが不十分な人や、イソニアジド、ペニシラミン、レボドパなどビタミンB6欠乏を引き起こす薬剤を使用している場合は、ギンナン摂取に注意が必要です。

Q87
胃潰瘍を繰り返していてピロリ菌の除菌を勧められたのですが、2種類の抗生物質を1週間も飲まなくてはいけないとのこと。除菌したほうがよいのかどうか迷うのですが。

    胃潰瘍では、胃酸を抑える作用のあるヒスタミンH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬(PPI)が主に使用されます。効果や安全性に優れ、ほとんどの場合8週間ほどで潰瘍が治りますが、薬を中止すると再発してくる場合が多いのです。近年、ピロリ菌陽性の潰瘍では、除菌治療によって再発が劇的に減少し、慢性胃炎を背景にしたポリープや潰瘍・胃癌などの発生リスクが低下することがわかりました。さらに、除菌により家族への感染リスクも取り除くことができます。それで薬を飲み続ける維持療法より、根本の原因を取り除く除菌療法が勧められています。ただし、消化性潰瘍患者の場合、除菌後約10%に胃食道逆流症が発生すること(軽症例が多い)、また非常にまれですが除菌治療薬で発疹などの副作用が現れることが知られています。メリットとデメリットを考えて治療法を選択してください。

Q88
がんの痛みにはどんな薬が使われるのですか。

    がんの痛みは、@体性痛(骨転移痛や術後の痛みなど、皮膚や深部組織の侵害受容器の活性化による痛み)、A内臓痛(胸腔や腹腔臓器への浸潤、圧迫などによる痛み)、B神経の圧迫によって生じる神経障害性疼痛、C精神的疼痛のいずれか、あるいはそれらが組み合わさっていると考えられます。痛みの治療では原則として、経口的に、規則正しく、段階的に、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やオピオイド製剤が使用されます。体性痛、内臓痛は比較的モルヒネが効きやすいとされていますが、神経障害性疼痛はモルヒネが効きにくい痛みです。症状により、鎮痛薬に抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不整脈などの鎮痛補助薬が併用されたり、神経ブロックや放射線治療が行われたりします。      
*オピオイド;opium-like(あへん様のもの)を意味し、オピオイド受容体に作用する麻薬性鎮痛薬と非麻薬性鎮痛薬(NSAIDs以外)を指します。

    1986年、WHOによりがん疼痛治療指針が発表され、1996年には改定もおこなわれた。現在最も権威ある国際的指針となっており、わが国でもモルヒネを中心とした薬物療法が徐々に浸透してきている。この疼痛治療法の基本原則は以下のようになる。
1)治療目標(痛みに妨げられない睡眠時間の増加、安静時の痛みの消失、起立・体動時の痛みの消失)を設定し1つずつクリアしていく。
2)経口投与を基本とする。(by the mouth)
   日常生活が制限されないようにできる限り経口投与をするが、嚥下困難な患者や強い嘔気や消化管閉塞を持つ患者には坐剤で対応し、それでも困難な場合は持続皮下注入でコントロールする。
3)除痛ラダーによる効力順に用いる。(by the ladder)
4)投与時刻を決めて規則正しく使用する。(by the clock)
    間隔を決め一定のリズムで投与し、頓用にはしない。
5)患者個別の量を用いる。(for the individual)
6)患者の状態を注意深く監視し、細かい配慮を行う。(attention to detail)
7)副作用を計画的に防止する。
8)鎮痛補助薬を効果的に組み合わせる。

    実際の方法としてWHOが推奨する鎮痛薬の選択方法は3段階ラダーである。痛みの程度に合わせ、第1段階(軽度の痛み)ではNSAIDsを、第2段階では、これより強い鎮痛作用を持つが麻薬としては弱いコデインを、それでも鎮痛されない痛みには第3段階として強力な麻薬性鎮痛薬のモルヒネを用いるとしたものである。 

 
Q89
脳梗塞の再発を予防するために血液が固まりにくくする薬を飲んでいますが、同じような病気の友人と薬が違います。どちらがよいのでしょうか。

  心原性脳塞栓症の再発予防のためには主として抗凝固薬(ワルファリン)が使用されます。非心原性脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)の予防には抗血小板薬が推奨され、脳卒中治療ガイドライン2004ではアスピリン75~150mg/日、チクロピジン200mg/日およびシロスタゾール200mg/日が勧められています。2006年4月にはチクロピジンと類似の作用機序を持つクロピドグレルが保険適用され、脳卒中の抑制効果がアスピリンより強く、副作用の肝機能障害発症リスクがチクロピジンより低いことから、主にハイリスク例の再発予防のために使用されています。ただしクロピドグレルは副作用でチクロピジンと同程度の血液障害を起こすと報告されているので、投与開始後2ヶ月間は2週間に1度の血液検査が望まれます。なお、すでにチクロピジンを服用していて副作用の心配のない人はそのまま続けていかれるとよいでしょう。ラクナ梗塞の再発予防に対しては、現時点で効果が確かめられているのはシロスタゾールです。脳出血の危険性を増加させないために、血圧の管理を十分に行いながら使用する必要があります。
 後遺症の神経症候、精神症候や自覚症状の改善のためには、脳循環代謝改善薬や脳神経伝達改善薬などが使われ、多彩な合併症には降圧薬、糖尿病用薬、高脂血症用薬なども使われます。最近、フルバスタチン(高脂血症用薬)が脳梗塞に伴う記憶障害症状の緩和に有効であったという報告があり、続けて臨床試験が行われています。

Q90
とても疲れやすいことから受診したら、プラセンタ注射をすすめられました。どんな薬ですか。副作用の心配はないのでしょうか。

 プラセンタ(placenta)は胎盤のことです。医療用医薬品として使用されているプラセンタ製剤はヒト胎盤から生体活性成分を抽出したもので、ヒト由来のアミノ酸、ペプチド、核酸、糖質、ミネラルなどを含んでいます。薬事法では特定生物由来製品に指定され、安全性確保のための対策が取られています。作用機序はまだ十分明らかではありませんが、本来身体が持っている生理活性を高めることにより、新陳代謝の促進、自律神経・ホルモンのバランス調整、免疫力の強化などの作用を示すと考えられています。主な副作用は注射部位の発赤疼痛です。またヒト組織から作られたタンパク・アミノ酸製剤であるため、ショックを起こす可能性がゼロではありません。なおこれらのプラセンタ注射剤による変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)感染事例は報告されていませんが、輸血や臓器移植と同様にvCJDの伝播の理論的なリスクを否定できないため、その使用者からの献血を制限する措置がとられています。

Q91
子どもがてんかんと診断され、薬を飲むことになりました。薬は長く飲まなければいけないのでしょうか。どんな副作用があるのでしょうか。日常生活ではどんなことに気をつけたらよいですか。

  てんかんは多彩な原因によって起こり、症状や予後など一様ではありません。発作の型により抗てんかん薬を使い分けて治療し、@発作抑制期間が3年以上、A脳波の正常化、B神経学的所見が正常、C患児および両親が希望するとき、に薬を中止の方向に進めてよいとされています。薬を減量するスピードはまだ十分検討されていませんが、2~4週ごとに減量してよいものはカルバマゼピン100mg、フェニトイン50mg、バルプロ酸200mgであり、4~8週ごとに減量するのは、クロバザム10mg、クロナゼパム0.5mg、エトスクシミド250mg、フェノバルビタール30mg、プリミドン125mgです。発作内容によって減量の時期や方法が異なり、予後良好な発作(欠神発作、良性小児部分てんかん)では比較的早く中止できますが、発作再発が起こりやすい患者*では減量や服薬中止に関して慎重な判断が必要です。
 抗てんかん薬の主な副作用は、神経症状(眠気、ふらつき、運動失調、複視)、皮膚症状(薬疹、口内炎、皮膚粘膜眼症候群)、血液障害、精神症状(いらいら、行動遅鈍、自発性の低下)などがあり、臓器障害などを起こすこともあるので必ず定期的に診察と検査を行う必要があります。
 日常生活での注意点は、過労、睡眠不足、睡眠過剰、便秘、下痢など発作を誘発しやすい条件を避け、快眠・快食・快便で過ごすこと。危険な場所での作業、交通機関の運転は原則禁止(車の運転免許証は専門医の審査により取得可能)。浴槽内で発作を起こすとおぼれるので、単独の入浴を避けるか、単独ならば入浴中何度も呼びかけるようにすること。食事制限は不必要ですが、水分の摂り過ぎ、過度な満腹状態、ぎんなんには注意が必要です。女児は初潮に関連しててんかんの勢いに変調がみられることがありますが、それまでに発作が抑制されていると問題が少なくてすみます。

*発作再発が起こりやすい患者:
・16歳以上の患者
・1次性あるいは2次性の全般性強直性間代性発作の病歴をもつ患者
・2剤以上の薬剤を必要とする患者、治療開始後にも発作があった患者
・ミオクローヌス性発作の既往のある患者
・中止前年の脳波に何らかの異常がある患者、部分発作で、今まで一度も全般化したことのない患者
・新生児てんかん発作の既往のある患者


Q92
下痢と便秘を繰り返すので、検査をしてもらったところ「異常なし」でしたが、症状を抑えるためにポリフルとレベニンというお薬をもらいました。どちらも整腸剤ということなので、1種類だけ飲めば良いと思うのですが。

  2種類の薬は働き方が異なり、どちらも穏やかに効きますので両方服用してください。ポリフルは下痢のときは多すぎる腸の水分を吸収し、便秘のときは水分を吸収したこの薬が便に混じって柔らかくします。効果を実感できるまでに4~8週間かかる場合も有りますが根気よく服用してください。人によっては飲みはじめの1週間程度(腸内環境が整いつつある時)腹部膨満感がありますが、消化管から吸収されないので全身的な副作用は少ないと思われます。ただし併用すると相互作用がある医薬品がありますので、ほかに薬を飲んでおられる方は薬剤師にご相談ください。一方、レベニンは乳酸菌製剤と呼ばれるもので、乳酸で腸内を酸性にして悪玉菌(大腸菌、病原菌)の発育を抑制し、腐敗発酵物のアンモニアの産生を抑えます。

Q93
検診でB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアであることがわかりました。どうしたらよいですか。治療をすぐ始めなければなりませんか。どんな治療法がありますか。

   HBVキャリアであることがわかったら、まず、B型肝炎に詳しい医師による精密検査を受けてください。それから@定期的に(少なくとも初めの1年間は2~3カ月に1回程度)医療機関を受診して検査を受け、自分の肝臓の状態を正しく知ること。A担当医と相談して健康管理および必要に応じて治療の方針を立てること。B担当医に無断で薬の服用を中止したり、処方薬以外の薬(自身で購入した薬や民間療法の薬などを含む)を服用しないこと。C過労を避け、規則正しい生活を心がけること。D飲酒を控えること。E標準体重の維持に努めること。などが大切です。またHBVは、血液や体液を介して感染するため以下の項目を守るようにしてください。

献血は絶対しない。
歯ブラシ、ひげそりなどの血液が付着する日用品は個人専用にする。
ほかの病気で病院に行った時、また歯科治療の際は、医師にB型肝炎であることを伝える。
出血したときは、できるだけ自分で手当てをし、血液のついたものはむき出しにならないよう包んで捨てるようにする。また、他の人に手当てをしてもらう場合は、血液や分泌物がつかないように注意する。
トイレの後は、流水でよく手を洗う。
乳幼児に口うつしで食べ物を与えない。
性交渉で感染するため、パートナーには事前に説明し、パートナーがHBVに未感染の場合は、B型肝炎ワクチンを接種してもらうようにする(コンドーム使用では絶対に安全というわけではない)。

なお、HBVは、くしゃみ、せき、抱擁、食べ物、食器やコップの共用など日常の接触では感染しません。
 さて、B型慢性肝炎を発症したからといってすぐ治療開始の必要があるわけではありません。治療をしなくても自然にセロコンバージョン(HBe抗原陽性からHBe抗原陰性かつHBe抗体陽性に転換すること)が起こって肝炎が沈静化する場合もあるからです。治療開始の判断は、年齢(35歳を境目とする)、ウイルス量、炎症や線維化の程度などから決定します。
 B型肝炎の治療法には大きく分けて、抗ウイルス療法、肝庇護療法、免疫療法があります。詳しくは担当医または薬剤師から説明を受けてください。


Q94
アルツハイマー病を予防することができますか。

   アルツハイマー病(AD)の原因はまだ良くわかっていませんが、@遺伝要因(遺伝子の異常や加齢など)、A外部環境要因(病原体、有害物質、事故、ストレッサーなど)、B生活習慣要因(食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒など)が複雑に関連していることが明らかになっています。AD予防のためには、脳の老化を防ぐことが大切で、生活習慣によりある程度予防が可能であるといわれています。現在、勧められているのは次のようなことです。
a) 野菜・果物を摂取する。
  ・酸化ストレスの増加はADの増悪因子と考えられる。野菜や果物に含まれる抗酸化物(ビタミンE、ビタミンC、β-カロテン)、ビタミンB群、葉酸の摂取は予防的に働く。ただし抗酸化物をサプリメントとして摂っても予防効果は認められない。
  ・野菜は1日最低350g摂ることが推奨されており、野菜ジュースでも効果がある。
b) 魚介類や海草を摂取する。
  ・魚油にはEPAやDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、肉の脂肪や大部分の植物油脂にはリノール酸やアラキドン酸などのn-6系多価不飽和脂肪酸が多く含まれる。健康の維持にはn-6/n-3比が重要。
  ・AD患者の男性ではn-6の過剰摂取が目立ち、女性ではn-3の摂取不足が目立っている。
c) バランスのとれた適量の食事をする。
  ・総カロリーおよび脂質、糖の過剰摂取、または極端な少食はADの危険因子。
  ・カルシウム、亜鉛、鉄などミネラルが不足しないようにする。
  ・「何を食べるか」だけでなく、「どのように食べるか」ということも重要であり、楽しい雰囲気の中での食事を心がける。
d) 定期的な運動をする。
 1,895名を6年間追跡した研究では、週3回以上の運動習慣が有意に認知症発症を抑制したとしている。
e) 深酒とタバコをやめて規則正しい生活をする。
f) 生涯にわたって知的活動を続ける(脳の働かせかたではinputとoutputが重要)。
   興味と好奇心を持ち、考えをまとめて表現する習慣を身につける。
g) メタボリックシンドロームの改善・予防をする。
h) 頭部外傷を避ける。

Q95
最近、妻がもの忘れをして困ります。アルツハイマー病なのでしょうか。薬でよくなりますか。

  もの忘れが気になる場合は、早めにもの忘れ外来や神経内科を受診してください。
  年をとるとある程度のもの忘れがありますが、アルツハイマー病ではちょっと前にあったことをすっかり忘れてしまいます。例えば、前の日に知人に会ったという出来事自体を忘れてしまう。今いった言葉を即時に復唱することはできても、少し間を置いてまた聞くとわからなくなっているといった記憶障害の特徴があります。年相応のもの忘れにしては程度が重いものの、日常生活には特に支障のない「軽度認知障害」の一部は、のちにアルツハイマー病に進行することが最近わかってきました。それで早期診断・治療によって進行を抑えることが大切だと考えられています。
  受診すると、服用中の薬、生活スタイル、職業、生活状況の変化など詳しい問診の後、認知機能検査や血液検査などが行われ、あわせてCT、MRIなどの画像検査で脳の形態が調べられます。脳の形態の変化が見られない早期には、必要に応じて脳の血流を調べるシングルフォトン断層撮影(SPECT)や、脳の代謝を調べるポジトロン断層撮影(PET)なども行われます。最近では、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβ蛋白とリン酸化タウ蛋白の異常があるかどうかをみるために脳脊髄液検査が行われることもあります。この検査では有用性のある診断マーカーが得られますが、体への負担が大きいので、血液や尿を用いた方法が現在研究されています。
  アルツハイマー病の治療には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸ドネペジル(商品名;アリセプト)が使われます。症状の進行を遅らせる効果がありますが、病気がある程度進行すると初期ほどの効果は得られません。また、認知機能障害のほかに、意欲や自発性の低下、感情障害、幻覚、妄想などの「周辺症状」が現れた場合は、症状に応じて抗精神病薬などが使われます。


Q96
検査値のGFRとは何ですか。この値が低いと何に気をつけたらよいのでしょうか。


  GFR(glomerular filtration rate)は糸球体濾過量のことで、腎機能を調べる検査値です。
 人の体の50~60%は水分からなり、腎臓はこの水分量やその中に含まれるミネラルなどの調節をしています。その他、血圧の調節、血液や骨をつくることに関与するホルモンも出します。こうした腎臓の働きが弱まることを腎機能が低下するといいます。
  GFRを正確に測定するにはイヌリンクリアランス試験が必要ですが、検査方法がとても煩雑なので、代わりに血清クレアチニン、体重、年齢、性別から予測する推算式が国際的に使われています。米国の慢性腎臓病診療指針ではGFRとして20歳前後の男性127±20mL/分/1.73m2、女性118±20mL/分/1.73m2を基準値とし、以後加齢により大きな個人差をもって年間約1mL/分/ 1.73m2前後低下するとしています。高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、貧血、感受性遺伝子などにより腎機能低下は早まり、たとえば高血圧の人ではGFRが年間4~8mL/分も減少します。慢性腎臓病は自覚症状に乏しいことが多いうえに、進行した腎機能障害からは末期腎不全へ移行してしまうため、疾患を早期に発見して治療することが大切です。米国国立腎臓協会のガイドラインでは、慢性腎臓病の定義を、@推定GFR<60mL/分/1.73m2が3ヶ月以上継続する。あるいは、AGFRとは関係なく腎臓の形態的または機能的な異常が3ヶ月間以上継続する場合としています。日本人の腎機能低下率に関するデータ(日本腎臓学会および日本透析医学会が2006年に公表したもの)では、GFRが50 mL/分/1.73m2未満では腎機能低下速度が、GFR60 mL/分/1.73m2以上の群と比べて2倍以上になることが示されています。なお近年、腎不全患者は急速に増え続け、慢性腎臓病はその予備軍であるとともに、心血管病の発症および死亡の有意な危険因子であることが明らかになっています。
 腎機能障害進展や心血管病を抑制するためには、血圧・血糖・脂質のコントロール、適正な体重の維持、禁煙、食塩・蛋白摂取制限、腎血流量を低下させるような激しい運動や過労を避けることなどが大切です。