在宅ノウハウ連携研修在宅医療はワンチームで
広島県医師会・広島県歯科医師会・広島県薬剤師会・広島県看護協会で組織する「県民が安心して暮らせるための四師会協議会」では、県民が生涯にわたって健康で過ごすための予防体制構築に向けた取り組みを行っており、令和元年度より在宅医療を実践しておられる方、在宅医療を始めてみようと思われている方、また、在宅医療に関わられている方々の実践に即した研修会を企画・開催しております。
在宅医療を行われる上で参考にしていただけるような動画教材として提供できるようシリーズ化し、掲載いたします。
第4回 ~認知症~
【総論・ディスカッション(各論・Q&A)】
医師 | 井門 ゆかり(井門ゆかり脳神経内科クリニック) |
歯科医師 | 半澤 泰紀(広島県歯科医師会) |
薬剤師 | 中島 啓介(広島県薬剤師会) |
看護師 | 遠藤 泰子(広島県看護協会訪問看護ステーション「ひろしま」) |
介護支援専門員 | 岡崎 美保(広島県介護支援専門員協会) |
第3回 ~栄養管理~
【総論・ディスカッション(各論・Q&A)】
医師 | 三原 千恵(医療法人信愛会 日比野病院) |
歯科医師 | 早乙女 裕彦(広島県歯科医師会) |
薬剤師 | 平田 恭洋(広島県薬剤師会) |
看護師 | 岡崎 美保(広島県介護支援専門員協会) |
栄養士 | 元廣 優子(広島県栄養士会) |
言語聴覚士 | 山田 亜紀子(コールメディカルクリニック広島) |
クラーク | 神谷 奈津美(コールメディカルクリニック広島) |
★ご所属等については開催時のものを記載
第3回在宅ノウハウ連携研修
在宅医療はワンチームで~栄養管理~
日時 | 令和4年3月26日(土) 16:00~17:30 |
開催方法 | Zoom(ウェビナー) |
時間 | テーマ | タイトル |
開会 | ||
38:20 | 総論 | 「在宅医療はワンチームで~栄養管理~」 医師:三原 千恵(医療法人信愛会 日比野病院) |
08:31 | 各論 | 「栄養士の紹介、高齢者に必要な栄養について、簡単料理の紹介、配食事業について」 栄養士:元廣 優子(広島県栄養士会) |
07:25 | 各論 | 「在宅医療はワンチームで~栄養管理~」 薬剤師:平田 恭洋(広島県薬剤師会) |
05:17 | 各論 | 「在宅医療はワンチームで~栄養管理~」 看護師:安原 明美(広島県看護協会訪問看護ステーション「ひろしま」) |
06:18 | 各論 | 「言語聴覚士の立場から」 言語聴覚士:山田 亜紀子(コールメディカルクリニック広島) |
17:04 | 各論 | 「歯科医師の介入について」 歯科医師:早乙女 裕彦(広島県歯科医師会) |
04:21 | 各論 | 「介護支援専門員の立場から」 介護支援専門員:岡崎 美保(広島県介護支援専門員協会) |
06:46 | 各論 | 「診療報酬について」 クラーク:神谷 奈津美(コールメディカルクリニック広島) |
14:40 | ディスカッション・質疑応答 | 「ディスカッション・質疑応答」 |
質疑応答(当日紹介できなかったものも含む)
- 質問)介護支援専門員:岡崎 美保 → 回答)看護師:安原 明美、栄養士:元廣 優子
やはり、在宅医療は多職種で関わる必要があるなと思った。在宅の栄養や食事で困った時にどこへ相談したら良いのか教えて欲しい。 -
看護師:安原 明美
訪問看護を利用していただいていれば、看護師に相談してもらうと状態観察を行って身体的な問題なのか、その他、取り巻く環境が問題なのかアセスメントを行って、必要なところへ相談・連携を図れると思う。
摂食嚥下障害に関しては、広島県内には摂食嚥下障害看護の認定看護師が60名ほどおり、施設によっては施設外活動をしている場合もある。
当法人の訪問看護ステーションにも3名ほどおり、訪問看護を利用されている場合には、相談を受け付けており、むせや口腔内のため込み、咽頭残留など食事が食べにくい状況を認めた場合、嚥下の5期モデルをもとに観察を行い、どこに問題があるのかをアセスメントして支援方法を選択し、アドバイスを行っている。
困難事例に関しては、医師に相談して訪問リハの言語聴覚士(以下、ST)さんに介入してもらっていたり、医療機関で嚥下評価をしているような状況である。 - 追加質問)介護支援専門員:岡崎 美保
サービス、訪問看護を導入しているケースが全てではないので、なかなか訪看護師だけに相談するのが難しいと思うがいかがか。 -
栄養士:元廣 優子
かかりつけ医療機関に管理栄養士が所属している場合には、医療機関は外来栄養食事指導や在宅訪問栄養食事指導をご依頼いただきたい。しかし、管理栄養士不在の場合も多くあるため、医師の指示書があれば、(ケアマネからの依頼になるかもしれないが、)広島県栄養士会にて診療報酬、介護報酬に係る業務として承っている。
また、指示書のない場合でも、実費(5,000円)と交通費をお支払いいただくことで訪問栄養食事指導行うことが可能である。
広島県栄養士会のホームページにて、栄養ケアステーションの業務依頼書の入力フォームへお問い合わせいただくか、お電話でご連絡いただきたい。
★問い合わせは無料 <資料はこちら> - 質問)介護支援専門員:岡崎 美保 → 回答)栄養士:元廣 優子
テーマである栄養管理の中に食支援も含まれると思うが、在宅での食支援をすすめていくために必要なことについて教えていただきたい。 -
栄養士:元廣 優子
まず、ご本人がどのような食事を期待されているのかがすごく大事になると思う。趣向に沿った食事というのをまず聞き取る。ご本人の思い出、記憶がすごく大事になると思う。
平成27年に広島県栄養士会でモデル事業をしたときに胃瘻を作られている患者さんがおられ、奥様がヨーグルト状のものだけは先生から許可をもらって、食事の介助をされていた。しかし、患者さん本人はおそばやビールが好きだったと答えられたため、管理栄養士2名体制でゲル化剤を使ったビールゼリーとおそばのゼリーを作った。数口、口にされ本人も嬉しそうだったが、一番喜ばれたのは介助されている奥様だった。かかりつけの医師、訪問診療医師にそういった対応を行うことを相談してから行った事案としてご紹介する。 - 質問)介護支援専門員:岡崎 美保 → 回答)医師:三原 千恵
栄養士の立場でお話を伺い、元廣先生からお話しいただいたようにやはり、医師の先生とも相談されたとのことだったので、ぜひ、三原先生からも食支援について伺いたい。 -
医師:三原 千恵
制度としては、先ほど話にあったように栄養ケアステーションで管理栄養士の方々が訪問看護ステーションでは訪問看護師の方々が尽力されていると思いますが、実際に食事支援である程度のシステムができた後にシステムを使おうと思ったら、煩雑になると思う。ここでは、介護支援専門員の方々は顔の広さを活かされるのが一つの手だと思う。
私の母が介護を受けなければならなくなったときに、お願いしている介護支援専門員の方は自分の近所や同級生、親戚などの周りの医療介護職の方に話を聞いて支援方法について提案してくれた。ケースバイケースな事に関しては、ありとあらゆるルートを使われていったらよいと思う。 - 医師:三原 千恵 → 回答)介護支援専門員:岡崎 美保
介護支援専門員の方は幅広い知識をお持ちになっているが、実際に今日のような栄養についてのことや胃瘻についてのことを勉強する場や情報などはどういった所から入手されておられるのか。 -
介護支援専門員:岡崎 美保
私は基礎職が栄養士のため、もともと栄養に関する事は学んできていた。実際、介護支援専門員の資格を持つ方で基礎職が管理栄養士・栄養士という方は全体の1.9%ほどしかおらず、現役で働いている方はそれよりももっと少ない状況で、栄養が大事だと分かっていても、しっかりとアセスメントする、勉強する機会がなかなかないと考える。
厚生労働省から発出されている「適切なケアマネジメント手法」の中に、本来必要なケアの抜け漏れ(知識のばらつき)といった課題があることから、現在、栄養面の支援や知識のばらつきがないように「適切なケアマネジメント手法」を学んでいる最中である。ただ、介護支援専門員の研修の中で栄養・食事を学ぶ機会は少ないので、是非今回、こういった形で出会えた先生方に介護支援専門員の研修に来ていただけたらと思う。
(資料あり) - 質問)歯科医師:早乙女 裕彦 → 回答)医師:三原 千恵
三原先生のように、地域基幹病院の医師からは退院時に、情報共有をしていただいて、栄養に関するオーダーをいただいている方がほとんどだが、実際に私が訪問している先には医科の介入のない患者さんや疾患のない方がいるため、そういった場合に低栄養が心配されるケースがある。老化の一環と見なされて体重減少が見過ごされている場合もあるため、そういう方に関してはどういった対応をしていくべきなのか悩んでいるので、是非アドバイスをいただきたい。 -
医師:三原 千恵
今日、ざっと総論として話したが内容が広いため、それぞれの立場で聞きたいことを聞くのは難しいと思いう。ただ、病院勤務医師として感じているのは、熱が出たから見て欲しいだったり、CTを取って欲しいといった相談がかかりつけの医師からあった時には、栄養のことも一筆紹介状に記載したり、介護者からのアセスメントがあれば、大体NST(栄養サポートチーム)が関与するため、外来の医師もNSTに回すようにしている。
そうすると、質問いただいた栄養の評価や栄養管理などいろんなポイントで対応できることが多い。まして、短期間でも入院となると、入院時からNSTが必ず関与するため、利用いただけたらと思う。
それから、歯科領域で言えば在宅でVE(嚥下内視鏡)をされる先生が増えておられるが、器具も高価でメンテナンスも大変ということで当院では外来でVEを行っている。そうするとそこにNSTチームも関わってくるため、食べている内容や投与している成分を必ず依頼医にフィードバックするため、是非病院のNSTを使っていただきたいと思う。 - 質問)医師:三原 千恵 → 回答)歯科医師:早乙女 裕彦
在宅療養患者での摂食嚥下患者の紹介先は、まず耳鼻咽喉科なのか歯科口腔外科なのか迷うところである。勿論、患者さんがずっと歯科に通院されているのであれば、栄養のこともお願いできることもあると思うが、実際の現場の状況はいかがか。 -
歯科医師:早乙女 裕彦
各論でも触れたようにホームページでは「嚥下障害の初期評価においては、医師が嚥下内視鏡検査を実施し、器質的機能的病変の有無や咽喉頭の機能評価を行う」と記載されている。また、但し書きがあり、「ただし本検査を実施する医師が近隣にいない場合には医師に相談できる連携体制をとり、特定の講習会等に参加し、嚥下障害診療に関する知識と技術を充分に習得した歯科医師が「嚥下障害診療ガイドライン(2018年版 日耳鼻)」に則し、安全性に配慮しながら実施することは妨げない。」という風にあるので、基本的には耳鼻咽喉科にかかっていただくのが筋であるが、通院が難しいなど、そうでない場合には歯科医師にご相談いただければと思う。
コメント)医師:三原 千恵
実は、先ほど説明したNPO法人PDN(Patient Doctors Network)では医師のみならず歯科医師にもVEセミナーを受けていただいている。その中でもわからない事があったら、耳鼻咽喉科の先生に聞いたり、紹介している。そういうときには耳鼻咽喉科に紹介するという感覚はすごく大事なことだと思う。 - 質問)医師:魚谷 啓 → 回答)薬剤師:平田 恭洋
内服薬の粉砕、簡易懸濁で配合変化が起きる例はあるか。 -
薬剤師:平田 恭洋
例:塩+薬剤にて塊発生(塩形成)、酸化マグネシウム+レボドパにて力価低下
酸化マグネシウム粉末はチューブを通過しないケースあり(粉末は粒子径が大きいため) - 質問)薬剤師:平田 恭洋 → 回答)言語聴覚士:山田 亜紀子
まれに薬を粉砕することで逆に飲み込みにくくなるケースがある。実際に嚥下検査をするとそういった事例はよく出てくるものなのか。 -
言語聴覚士:山田 亜紀子
嚥下の3期の中でも口腔期の低下があり、食塊が難しい場合、生じる可能性がある。口腔内で粉砕がばらけやすくなるために、口腔内に残留しやすくなることが考えられる。口腔機能はVFでは確認することができるが、VEでは困難。 - 質問)医師:魚谷 啓 → 回答)言語聴覚士:山田 亜紀子、歯科医師:早乙女 裕彦
嚥下自体は出来るが、摂食が困難な事例がある。摂食について困ったときはどのような対応をしたら良いか? -
言語聴覚士:山田 亜紀子
舌運動低下を主とした口腔期の問題が大きい。咀嚼とは噛み合わせだけではなく、舌運動を含めての食塊形成を考える。食塊形成を容易にできるもの食形態や、送り込み不全を補うための姿勢を取ることも一案。
歯科医師:早乙女 恭洋
摂食嚥下補助器について
舌の運動機能低下により、舌が上顎に届かない場合は、「舌接触補助床」という義歯に似た装置を口腔内に装着することで、舌による口腔から咽頭への食塊移送を補助することで摂食障害が解消できることがある。 <資料> - 質問)看護師:安原 明美 → 回答)栄養士:元廣 優子、医師:三原 千恵
がん末期の栄養について(悪液質の判断と栄養管理について) -
栄養士:元廣 優子
必要栄養量を充足させることは難しく、ご本人が希望される食品(料理)を聴き取りし召し上がっていただく。経口摂取のご希望が難しい場合、口当たりのよいアイスクリーム・果物や飲料の提案もよいと考えている。 <資料>医師:三原 千恵
がん悪液質は「前悪液質」「悪液質」「不応性悪液質」の3段階のステージに分けられている。臨床の現場では「前悪液質」の段階で適切なアプローチを行って、少しでも進行をとめるように早期に気づき対処することが重要。また「不応性悪液質」に至ると、病態の改善は難しく、緩和的治療が目的となる。ご本人はもちろんのこと、ご家族の気持ちと歩調を合わせて、少しでも楽しめるような食事の工夫をしてあげましょう。(詳細は元廣先生の回答を参照) - 質問)介護支援専門員:岡崎 美保 → 回答)栄養士:元廣 優子
入院中、リハビリスタッフがサルコペニア・フレイルと判断した際に栄養評価をすることはあるか。 -
栄養士:元廣 優子
リハビリスタッフは、消費活動分の栄養量が必要であることを理解されている。必要栄養量不足の可能性がある場合、管理栄養士へ栄養評価(食事調整含め)するよう依頼がある。 <資料> - 質問)看護師:安原 明美→ 回答)クラーク:神谷 奈津美
経腸、経静脈栄養に使用する衛生材料について、診療報酬算定が可能なものを教えていただきたい。 -
クラーク:神谷 奈津美
在宅で使用できる特定保険医療材料として在宅中心静脈栄養用輸液セット、在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル、交換用胃瘻カテーテルがあり、これらは算定可能。
算定可能なものをスライドにまとめているので、参照ください。 <資料> - 質問)医師:魚谷 啓 → 回答)クラーク:神谷 奈津美
在宅中心静脈栄養法の特定保険医療材料は何回分まで算定可能なのか。 -
クラーク:神谷 奈津美
特に定めはなく、使用した分だけ算定可能。当院は週に1回の交換のため6組を超えることは無いが、毎日交換して全て算定している医療機関もある。今のところ査定はされていないとのこと。 - 質問)医師:三原 千恵 → 回答)歯科医師:早乙女 裕彦
口腔機能低下症は、どこの歯科医院でも対応しているか。 -
歯科医師:早乙女 裕彦
現在、広島県歯科医師会の会員検索では、口腔機能低下症対応診療所の検索に、対応していません。
今後の対応を検討しているので、まずは、近くの歯科医院へ電話にて直接お尋ねください。コメント)医師:三原 千恵
実は、先ほど説明したNPO法人PDN(Patient Doctors Network)では医師のみならず歯科医師にもVEセミナーを受けていただいている。その中でもわからない事があったら、耳鼻咽喉科の先生に聞いたり、紹介している。そういうときには耳鼻咽喉科に紹介するという感覚はすごく大事なことだと思う。
県民が安心して暮らせるための四師会協議会